『異世界美少女受肉おじさんと』原作・池澤真氏インタビュー! 目指したのはみんなが見て「いいよね」と思えるデザイン

TVアニメ

漫画アプリ「サイコミ」などで掲載されている『異世界美少女受肉おじさんと』。本作は、アラサー会社員のおじさんが異世界転移したら絶世の美少女に。男の姿に戻るため、親友とともに魔王を倒す旅に出るというファンタジー作品だ。
5 月には TV アニメ化も発表され、ファンを湧かせた本作。AnimeRecorder では本作の原作・津留崎優氏、作画・池澤真氏、「サイコミ」編集担当の吾田慎悟氏にインタビューを実施した。

第 2 弾となる今回は原作の作画を手掛ける池澤真氏のインタビューを紹介。自身が手掛ける作画で心がけていること、アニメへの期待を伺った。

第1回・津留崎優氏インタビュー 第2回・池澤真氏インタビュー

将来はフィギュア化、そして薄い本も見てみたい?

――これまではコミカライズなどを手掛けて来られたようですが、なぜオリジナル作品を描こうと考えたのでしょう。

きっかけというと、僕のほうから「オリジナルがやりたい」と提案したのが始まりでした。ただ、僕自身はストーリーを考えたりはしないので、それならば津留崎先生にお願いしようと考えたのです。

――それで津留崎さんとともに『ファ美肉おじさん』を手がけることになったと。ジャンルが異世界転生作品と聞いたときの第一印象はいかがでしたか?

ジャンル自体も流行っている時期でしたし、面白そうだと思いました。それに個人的にもTS(トランスセクシュアル)は嫌いではないし、どんな作品に育っていくのか興味がありました。

――本作のメインキャラクターである橘と神宮寺を描く際に意識していることはありますか?

みんなが見て「いいよね」と思えるデザインにしようと意識しています。特に神宮寺は高身長でメガネとスーツが似合って、それでいて狼狽したらかわいい感じ。メガネを掛けたイケメンキャラが見せるギャップの良さは僕の中にもあって、それが反映されています。

橘に関してもデザイン自体はすぐに決まりました。ギザ歯は個人的に好きなポイントのひとつで、これはぜひ入れたいと思っていました。編集の吾田さんからも「八重歯じゃなくてギザ歯?」と聞かれましたけど、そこは好みを押し通しました(笑)。

結果的には歯を食いしばったときの表情に個性が出ますし、デフォルトのキャラクターも見栄えが良い。なにより、女性の中にある男性的なところが表現できるので良かったと思います。

――メインの2人以外で気に入っているキャラクターはいますか?

シュバ君のデザインが完成したときは、自分で思わず笑ってしまいました。「いいのができたぞ」って(笑)。津留崎先生からは「なろう系の主人公」という発注があり、それをうまく表現できたと思います。
『異世界美少女受肉おじさんと』みたいなギャグ作品だと、男のキャラクターのほうが描きやすいし、動かしやすいというのもあるでしょうね。

――エルフやモンスターなど、ファンタジー世界ならではのキャラクターについては?

エルフに関してはこれまでたくさんの作品で描かれてきたフォーマットをそのまま使っていますね。モンスターだと、人生で見てきた映画のクリーチャーが活かされている部分があります。森の神様とか、イカとか。僕自身が映画で感じた嫌悪感を抱いてもらえたらと思います。

ファンタジーではないですけど、ロボットはコンセプトが迷子だったのを覚えています。何度かリテイクをもらいつつ、最終的にはかわいい方向でバランスを整えていきました。最初はもっとグロテスクな見た目でした(笑)。

――背景や小物を描く際に気をつけていることはありますか?

ちゃんと調べ物をして、間違いのないように描くという普通のことしか言えないです(笑)。というのも、背景についてはイメージを伝えてアシスタントの方にお願いすることが多いからです。
実は背景アシスタントは僕や津留崎先生と学生時代の同期で、過去にはアニメの背景も手掛けていた人です。学生時代からめちゃくちゃ上手くて、今もほぼ 1 人で描いてもらっています。壁をひとつ描くにしても、どんな時代背景で、どんな模様が適切なのかを独自に調べてくれるんです。だからこちらもディレクションする必要がなく、本当に助かっています。

――津留崎さんが手がけるストーリーやキャラクターにはどんな魅力があると思いますか?

どのキャラクターもかわいげがあるのが良いですよね。分かりやすい悪役が存在せず、平和なんです。
異世界ものって、例えば奴隷商人だったり、人を殺すやつだったり、明確な悪役が登場すると思うんです。どこまでも平和で、ギャグストーリーを展開できるのは津留崎先生の個性だと思います。

――アニメ化が決まったときの第一印象はいかがでしたか。

いきなりアニメ化のことを教えてもらったわけではなく、「アニメ化するかもしれない」くらいの情報から徐々に慣らされていったので、正式発表のときは驚きよりも「ようやくか」という思いのほうが強かったです。
もしかしたら中止になるかもしれないと頭の片隅にはあったので、ずっと「どうせポシャるんでしょ」と、軽い気持ちで構えていました(笑)。

――本作は企画開始当初からメディアミックスを考えていたとのことですが、デザインの面でアニメを意識したところはありますか?

ないです(笑)。あまり線を増やしすぎないようには意識していて、それはひょっとしたらアニメにもいい影響があるかもしれません。だけどこれももともとは僕が手間をかけたくないからで、アニメのためではないんです。結果的に自分のデザインと、アニメの企画が噛み合っていた形です。

――アニメの制作に原作者のお二人が携わることはありますか?

僕はキャラクターデザインの監修くらいで、大きな仕事としてはあまりないです。ひょっとしたら Blu-ray が発売されるとき、ジャケット描いたりはするかもしれません。

――アニメに対して期待していることは?

オープニングとエンディングがどんな映像になるのかが一番興味あります。津留崎先生も僕も、アニメのオープニング、エンディング映像がとても好きなんです。それだけに良いものになってほしいと期待しています。

――キャラクターに関しては「アニメでこんな風に描いてほしい」といった期待はありますか?

作画のところでは、やっぱりかわいく描いてほしいですよね。せっかくアニメで動くのだから、格好いいアクションも見てみたいです。

――アニメ化に続く目標はなにかありますか?

フィギュアとか、グッズを出せたら嬉しいですね。あとはあくまでもファンとして、薄い本も見たいのでたくさんの方に応援してもらいたいです。

――最後に、ファンの方々に一言メッセージをお願いします。

皆さんのおかげでアニメ化できたと同時に、アニメの監修という新しい仕事ももらえるようになりました(笑)。寝不足になっていますが、良いアニメにできるよう頑張っていきます。そして薄い本や立体物を作ってくれる方が出てきてくれたら嬉しいですね。

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