劇場アニメ『HUMAN LOST 人間失格』又吉直樹、ヨコオタロウ、弐瓶勉ら業界を超えた著名人からコメントが到着

劇場版

明日11月29日(金)より全国公開を迎える劇場アニメ『HUMAN LOST 人間失格』について、業界を超えて各界で活躍するクリエイター&著名人からのコメントが到着した。

又吉直樹さん、ヨコオタロウさん、弐瓶勉さん、谷口悟朗さん、クリス・ペプラーさんなどお笑い、SF、エンタメ、ゲーム、アニメーションと多彩な業界の人物が本作に対する感想を残している。

■又吉直樹(お笑い芸人)
最初にタイトルだけを聞いた状態で作品を見た時は、想像していたスケールを大きく超えていたので大変驚きました。実は3回見ているのですが、最初は映像や世界観に圧倒されてしまい、それだけでも十分に見ごたえがありました。もともと原案の「人間失格」は繰り返し読んできたので、2回目を見た時は原案に通底するものがあると強く感じました。この作品は「人間失格」のテーマをただなぞっているわけではなく、新たな解釈を含み、展開することによって、刺激的な物語を構築しています。だからこそ鑑賞する側の自分も新しい気付きを持つことが出来たのだと思います。「HUMAN LOST 人間失格」の登場人物たちの関係性や視点を持つことで、原案の「人間失格」をまた新しい角度で楽しむことが出来ると思いました。

■ヨコオタロウ(「NieR: Automata」ゲームクリエイター)
最初に告白しておきますが、自分は太宰治の「人間失格」を読んだ事がありません。というか太宰治の本は一冊も読んでないし、何なら純文学と呼ばれるソレ系の小説はほとんど読んだことがありません。いや、すみません「人間失格」が純文学というジャンルの作品かどうかすら知りません。ただ、この作品からチラチラと漏れ出す違和感に「この設定は原作由来なのかな……」とか考えていただけなんです。だから主人公が変身して敵をボコにしはじめた時も「あー、なんか、これは、あー、カフカが書いた虫になるアレ……あの小説……そうだ『変身』あたりの翻案なのかな?」とか思いながら観ていました。すみません嘘です。カフカはイチミリも脳裏をよぎりませんでした。つまりまあ、そのくらい混乱していた、という事です。

そんな混乱の中、僕は「この作品を僕ではなくて太宰治本人が観劇したらどのような感想になるのか?」という事を観劇中に考えていました。「人間失格」という作品が時空を超えてSFに変わった世界で、太宰はなんて言うんでしょうか?その答えを聞いてみたい……そう思わせる映画でした。

■弐瓶勉(漫画家)
「人間失格」から想像していたものとはあまりにもかけ離れていて、そこが気持ちいいです。

■谷口悟朗(『コードギアス 反逆のルルーシュ』アニメーション監督)
「No Longer Human」ではなく「HUMAN LOST」である。

どこか新しくもあり、どこか20世紀のOVA的であり、そして、どこかどこかモディリアーニを想起させる作品。

この作品の年代設定が昭和であることに怖さがある。文化は定期的に決算をせねばならないが、そのあたりは木﨑監督や脚本の冲方さんの狙いでもあるのだろう。原作を知っている人は「ここでこうくるか」と思えるところが多い。先に原作を読んでもいいかもしれない。

堀木正雄とかヨシ子と聞いただけで役割とかもわかりやすくなるし。

ついでに少しネタバレ……地獄の馬もでてきます。

あと、ポリゴン・ピクチュアズさんが「櫻井孝宏の声」をどう思っているのかには、本作品で完全に答えが出たと言ってよいであろう。

■クリス・ペプラー(TV、ラジオパーソナリティー)
AKIRA, GHOST IN THE SHELL に次ぐ日本SFアニメの新たな金字塔。
最先端テクノロジーが世界に類を見ない、日本ならではの国民性、社会性を
どのように感化していくか、アイロニーを込めて描く最上級エンタテインメント。

■せがわまさき(「バジリスク 〜甲賀忍法帖〜」漫画家)
いや、まいりました。あの太宰治の『人間失格』をSFアクションエンタメに仕上げてしまうとは!

目を釘付けにする濃密なアクションの連鎖、目が離せない濃厚なストーリー、『大義』と『正義』、『狂気』と『思春期』、『混沌』と『秩序』の凄惨な殴り合い。久々に『マジか!?』と驚きの声を上げてしまいました!

■吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)
「これをやったら人間失格、さて何をした?」という太宰治からの大喜利に、冲方丁から出された強烈な回答が、「全人類失格」。

『HUMAN LOST 人間失格』は、福利厚生、盲目的な保護本能が尊厳の喪失に直結している残酷な可能性を指摘している。

純朴な思いは、罪かもしれない。

■redjuice(イラストレーター)
絵を描いていると時々無性に、自分に『人間失格』の烙印を押したくなる時があります。そういう共感に心を蝕まれ、絶望しつつも『よし子可愛いよよし子…』って救いを求めながら見てました。

■瀬下寛之(「シドニアの騎士」、アニメ「GODZILLA」シリーズ、アニメ演出家)
リアルな世界が恐ろしい出来事に満ち溢れた今、物語で描かれるディストピアには安心し、むしろユートピアには不安を感じる。

「健康と長寿」はもはやSFサスペンスなのだ。本作はその恐ろしい事実を教えてくれるようだ。

■さとうけいいち(監督/デザイナー ブレイズスタジオ取締役)
参ったなぁ。こんなの作ってもらっちゃったら、僕はさらに超えなきゃいけないじゃないか。

参ったなぁ。

ポリゴンピクチュアズさんの円熟された技術力を壮大なスケールで見せつけられました。

現代日本の抱えるテーマや一個人の悩みを、日本が育んできた「アニメーション」という形で、皆さんにも共感される作品に昇華されており、極めて日本らしい作品だなと思います。2019年、令和。改めて「人間失格」という意味を考えるきっかけを与えてくれる作品です。

ぜひ劇場にてご覧ください。

■エンタメ大好き妖怪
ポリゴン・ピクチュアズのアニメーション技術は一体どこまで進化するんだろう…!

見たこともない3DCGで殴られる、新感覚ディストピアアクションムービー!

原案・太宰治×SFの異色コラボで、「恥の多い生涯を送ってきました。」このあまりにも有名な一文をまさかこう繋げるとは!

医療革命による無病長寿社会…死の克服からくる倫理観の欠落…ガスマスク必須レベルの大気汚染…限界ディストピアと化した昭和111年の東京、人間失格せざるを得ないヤバさ…。

■丸屋九兵衛(特殊系音楽評論家)

「恥の多い生涯を送ってきました(太宰治)」よりも「どこに出しても恥ずかしい映画監督(河崎実)」派のわたしだが、これには降参! なんと冲方丁が原案&脚本だし、J. Balvinのおかげで主題歌のサビはスペイン語だし。さまざまな面で自然に越境してしまっている怪作。この20年間、m-floにいろいろ教わってきた者として、これはきっちり見届けたい。

■氷川竜介(アニメ・特撮研究家)
CGは長らく、冷たい、硬いなどと言われてきたが、そのCGで命を描くというのがどういうことなのか。

ポリゴン・ピクチュアズの作品にはいつもそんな要素が入っている。今回はその集大成ではないかと思いました。

『生きるってどういうこと?』と考える若い人たちが多いので、そういった方たちにも響くのではないでしょうか。

■添野知生(SF映画評論家)
原作もの、シリーズもの、続篇、リメイクの映画ばやりで、それらにはそれらの歴史や楽しみ方があるとはいえ、それだけだとどうしてもジャンルは痩せてしまう。だから、オリジナルで単発の長篇SF映画が登場したら、できるだけ応援したいと常々考えているわけだが、そんな二分法を粉砕するような新作映画が現れた。原案があるのにオリジナル、オリジナルなのに原案がある。こんなことができるとは!

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