『進撃の巨人』オーケストラコンサートがパシフィコ横浜で開催。本編映像とともにオーケストラの生演奏で振り返る

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TVアニメ『進撃の巨人』の軌跡を、本編映像とともにオーケストラの生演奏で振り返るイベント、『進撃の巨人オーケストラコンサート』が、2021年8月22日(日)にパシフィコ横浜・国立大ホールにて開催された。

出演は、Season1から劇伴を担当している澤野弘之と、The Final Seasonから劇伴を担当しているKOHTA YAMAMOTO、そして澤野楽曲には欠かせないゲストボーカルのAimee Blackschleger、Eliana、Laco、mpi。さらに、梶裕貴(エレン・イェーガー役)、石川由依(ミカサ・アッカーマン役)、井上麻里奈(アルミン・アルレルト役)らキャスト陣も登壇した。

『進撃の巨人』では、朗読劇&劇中音楽の生演奏という形式でのイベント(Reading&Live Event「Attack 音 体感」)が過去にも2度開催されていたが、劇伴が主役となるオーケストラコンサート形式での開催は、今回が初めて。

コンサートは前半と後半に分かれており、前半は澤野氏によるSeason1~3の楽曲、後半はYAMAMOTO氏によるThe Final Seasonの楽曲という構成。また、演奏中には、その楽曲が使われたアニメ本編の印象的なシーンが大型スクリーンに上映される。映像は今回のために新たに編集されたもので、エレンやリヴァイ、ライナー、ヒストリア、ジークなど、様々なキャラクターをフィーチャー。それぞれの視点から、『進撃の巨人』を振り返ることができる、ドラマチックな内容となっていた。

「その日、人類は思い出した――」。おなじみのアルミンの一節から始まったオーケストラコンサート。超大型巨人が街を襲い、幼いエレンが目の前で母を巨人に食い殺された、あの衝撃的なシーンとともに前半がスタートした。『進撃の巨人』を代表するメインテーマ「at’aek ON taitn<WMId>」で観客を引き込むと、そのまま一気に、立体機動装置での戦闘シーンを盛り上げた劇伴が披露されていく。常に死と隣り合わせでありながら、まだ壁の向こうには自由と希望があると信じていた初期の楽曲たち。そこには、The Final Seasonを経た今だからこそ感じる、まぶしさと切なさがあった。

澤野楽曲の演奏が終わったところで、梶・石川・井上の3人が登壇。生演奏を聴いた梶は「実際に物語の世界に入り込んだような、衝撃と振動が伝わってきました」と感動を口にした。ヴァイオリンの音が、人の声や立体機動装置のワイヤーを発射する音のように聴こえたという井上は「生で聴くことによってたくさんの発見がありました」と話す。石川も「音楽がDNAに組み込まれているような感覚。『DOA』を聴くと“戦え!”と言われているような気持ちになりました」と、劇伴の魅力や収録当時の想いを語り合った。

ガビ(CV:佐倉綾音)のセリフで始まった後半は、優雅さと壮大さのなかにも悲壮感が漂う、The Final Seasonの劇伴が展開。エレンたちにとっての正義が、外の世界からは悪として描かれるという、物語の見方が大きく変わる新章にふさわしく、劇伴の雰囲気も一変した。弦楽器やピアノの旋律が、ジークやライナー、ベルトルト、アニたちの、それまで見えてこなかった部分を雄弁に物語っていく。本編の最後に、家族のぬくもりや仲間の大切さ、穏やかで幸せな情景が次々と浮かぶ「Memory Lane (Vn ver.)」が演奏され、観客の涙を誘っていた。

コンサートを振り返り、石川は「澤野さんの曲は、“戦え!”とたきつけるような印象が強かったのですが、KOHTAさんの曲には優雅さがあって、ミカサたちが知らなかった相手側の世界や生活が見えてきました。音楽によって、心の繊細な部分をザラっとさせられたように感じました」とコメント。すると梶も「信じてきたものを覆されるような心苦しさやつらさ」を感じる物語だと、改めてThe Final Seasonを振り返った。井上も、臨場感あふれる劇伴について、「自分が歴史の目撃者になったような気持ちにさせられた」と音楽の力について熱く語った。

イベントでは、『進撃の巨人』の最新情報も解禁に。The Final SeasonのPart 2にあたる第76話「断罪」の放送時期が、2022年1月予定であることが発表された。アフレコはすでに始まっているとのこと。梶は、「エレンと魂を重ねてアフレコに臨んでいます。心してアニメーションの完成をお待ちいただければと思います」と力強くコメント。さらに、新作の放送前には、これまでの『進撃の巨人』を振り返る特別総集編と、リヴァイ、アニ、ミカサなどの視点で語られるオリジナルアニメ(OAD)の放送も予定されているという。コンサートの最後には、梶が「完結へ向けて、アニメもいいものを作っていけるように、僕達演者も最後まで心を込めて演じていきたいと思います」と意気込みを語り、出演者と観客とで心臓を捧げあった。

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