サイバーエージェント、社内クリエイターに向けた「画像生成AIガイドライン」を策定…必要に応じて加筆・一部変更などの工夫を推奨

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サイバーエージェントは、4月3日、同社のクリエイターに向けた「画像生成AIガイドライン」を策定、一般にも公開した。
これは社内クリエイターが画像生成AI利用する際の注意点をまとめたもので、「機密情報や個人情報を画像生成AIに利用しない」「既存著作物に類似した内容を生成させることを目的とした追加学習モデルの利用禁止」といった禁止用途を明確化。
また、プロンプトに既存著作物、作家名、作品、著名人、有名人の名称を入力しない、許可なく他者の著作物、商標、意匠、肖像等を生成しないといった遵守事項を明記している。

その中には、生成物をそのまま利用することは極力避け、類似した生成物に留意し、必要に応じて加筆・一部変更するなどの工夫を行うことを推奨することも記載されている。

同社の公式サイトには、同ガイドライン策定を担った「CA Creative Center」及川和之氏と、法務担当 堀居健太郎氏のインタビューが掲載されている。
及川氏は、社内のクリエイターから「業務において画像生成AIを利用して良いのか分からない」と悩む声があったとのことで、グループの全クリエイターが冷静かつ安心して利用できるよう、関係各所の判断を仰ぎながらガイドラインを作成したという。

また堀居氏は、ガイドライン策定にあたって「法務が中心となって現在の法規制について調べながら、画像生成AIにおいてどのようなリスクが起こり得るか、またセキュリティ観点でどういった問題があるのかプロジェクトメンバーで洗い出しを行いました」。加えて、クリエイターの利用状況や意見を汲み取った上でルールや運用体制を検討し、ガイドラインの完成に至ったという。

ガイドラインで特に重視しているポイントについては、「利用するツールやモデルの選定」と「使い方」であると堀居氏。
ツールやモデルについては、そのサービス内容やライセンスの範囲、機能、セキュリティなどにおいてリスクが高いものは使用を避ける。また、学習データの信頼性に関する問題もあるため、利用前にはその安全性や注意事項を詳しく確認する必要性を述べている。

最後に及川氏は、「クリエイターの業務を生成AIで代替することがゴールではありません。生成AIを適切に活用することで、クリエイターがより創造的な作業に注力できる状態になる事が重要です」とコメント。その上でサイバーエージェントのクリエイターに、「業務におけるリスクを回避しながら、新たな技術へのアンテナを張り続けてほしい」と述べている。

「画像生成AI利用ガイドライン」のポイント

1画像生成AI利用における禁止用途を明確化
・機密情報や個人情報を画像生成AIに利用しない
・既存著作物に類似した内容を生成させることを目的とした追加学習モデルの利用禁止

2画像生成AIの利用時の注意点と遵守事項を明確化

・プロンプトに既存著作物、作家名、作品、著名人、有名人の名称を入力しない
・許可なく他者の著作物、商標、意匠、肖像等を画像生成AIに入力・アップロードしての生成はNG
・生成物の利用前に必ず類似チェックを行う
・生成物をそのまま利用することは極力避け、類似した生成物に留意し、必要に応じて加筆・一部変更するなどの工夫を行うことを推奨

社内のクリエイターに向けて発表した「画像生成AIガイドライン」策定の裏側(サイバーエージェント公式サイト)