『おかしな転生』ペイストリー役・村瀬歩さんにインタビュー 「おやつを食べながら楽しんでいただければ」

TVアニメ

7月3日からテレビ東京、BSテレ東、AT-Xほかにて放送がスタートしたTVアニメ『おかしな転生』。本作は、前世は天才菓子職人で、貧乏領地・モルテールン領の次期領主として期待される少年・ペイストリー(ペイス)が、数々の苦難や試練に若き少年が持ち前の知略やお菓子作りへの愛情を武器に立ち向かう王道スイーツファンタジー。

今回は、本作でペイス役を演じる村瀬歩さんにインタビューを実施した。遡ること5年前の2018年に発売されたドラマCD以来となるペイス役に対して、村瀬さんはどのように向き合ったのか、作品の魅力とともに伺った。

「美味しそう」と思う瞬間ばかり

――本日はよろしくお願いします。村瀬さんは以前、『おかしな転生』のドラマCD版にも出演されていました。今回アニメ化の話を聞いたときは、どんな印象でしたか?

ドラマCDの収録は4~5年ほど前だったので、懐かしさすら感じます。当時は物語の始まりからではなく、キャラクターがある程度揃ってからのエピソードをドラマ化していました。そのため、今回のアニメはあらためて最初から演じられるということで、新鮮な気持ちと楽しさ、そしてキャスト陣が再び揃ったことの嬉しさも感じました。

――ドラマCDのときから原作には触れていたと思いますが、どんなところに魅力を感じますか?

もちろんお菓子の描写は魅力的で、「美味しそう」と思う瞬間は多々あります。その一方で、主人公のペイスは転生前が大人だったこともあり、洞察力があって、政治的な駆け引きに巻き込まれることもあるんです。そのギャップも作品の面白さだと思います。

――ドラマCDとアニメで、演技の質に変化はあるのでしょうか。

アニメの場合、例えば走るシーンは息遣いを映像や音楽でフォローしてくれるケースがあります。それがドラマCDだと映像によるフォローがなくなるので、より聞く人の気持ちに寄り添った作りを考える必要があるのかなとは思います。

――アニメでペイスを演じるのも久しぶりだったと思いますが、すんなりと役に入れましたか?

なにせ前回演じたのが4~5年前の一度きりなので、当時の音声を聞いて、思い出しながらの作業でした。とはいえ、土田さん(カセロール役の土田大さん)をはじめとした共演者のみなさんとの掛け合いが楽しくて、「そういえばこんな感じだったな」と、アフレコ現場に入ったらすぐに思い出せました。

――他の共演者の方々の演技で印象に残ったものものは?

レーテシュ役の日笠さんは、以前から仲良くさせていただいているのですが、レギュラーで共演する機会は意外と少なかったんです。
だけど今回、2人の掛け合いも多くできて、楽しかったですね。当たり前ですけど、やっぱりこのひとは上手いんだなと、改めて感じました。

レーテシュは普通の人と比べて圧倒的にインテリジェンスがある人物で、政治力に長けています。ペイスとの掛け合いは単純に楽しいだけでなく、腹の探り合いのようにもなっていました。

――お二人とも第一線で活躍しているのに、あまり共演がないというのも珍しいですよね。

同じ座組にはなるけど、キャラクター数が多くて「共演」という感じではなかったり。あとは僕が端役で、日笠さんがメインキャラクターだったりはあるんですけど。

どんなときも「美味しいお菓子を作りたい」という思いは変わらない

――あらためて、ペイスを演じる際はどんなところに気をつけましたか?

転生して小さい体になったところからのスタートで、彼にとっては料理に関する知識も一からスタートする部分があるんです。例えばりんごのような果物はボンカという名前で、味も少し違ったりします。ペイスが試行錯誤する様子を演じるのはすごく楽しかったし、演技を通して彼が感じているであろう楽しさを伝えられるよう意識しました。
その一方で、非常に頭が切れるキャラクターであり、一瞬だけ冷酷になる場面もあります。そんなギャップは強調できるよう、冷たい演技はとことん冷たく感じられるように気をつけました。ペイスって、お菓子作りを邪魔する人には容赦ないんですよ(笑)。

――心優しいキャラクターですけど、二面性もあるんですね。

二面性といっても、「美味しいお菓子を作りたい」という思いは常に同じで、協力してくれる人には優しく、邪魔する人には冷たくなるだけなんです。なので、まったく別の人格を演じるのではなく、根っこの部分は同じだと意識しています。

――演じる中で楽しかったシーン、あるいは苦労したシーンはなにかありましたか?

会話がシリアスなシーンもあり、父様にげんこつを食らうコミカルなシーンもあり、メリハリがすごく効いているのは楽しかったですね。
逆に難しかったのは、異世界作品ならではの固有名詞を使う場面。普段耳にしないような言葉が急に出てくると「あれ?今言えてたかな?」と不安になることも多かったです。

――この作品に限らず、村瀬さんは少年役を演じる機会が多いと思います。少年を演じる際のこだわり、矜持はなにかありますか?

一言で表すのは難しいけど…10代の子って、一つ疑問に思うと長いこと引きずることがあると思うんです。そんな疑問に突き動かされて、自分が思ってもないことを言ってしまったり。
大人だと割り切って考えることでも、「今、この子はなにを考えているんだろう、なにを気にしているんだろう」と常に思いを巡らせること。「なんとなく演じる」は絶対やらないことは常に大切にしています。

――作中にはさまざまなお菓子が登場すると思います。お菓子の描写はいかがでしたか?

PVにも登場するりんご飴がすごく美味しそうで、何回も見直しちゃいました(笑)。聞いた話によると、葛谷監督は以前、和菓子職人をしていたそうなんです。だからなのか、食べ物の描き方には相当なこだわりがあるみたいで、線画の状態でも「美味しそう!」と思えるくらいのクオリティなんです。この作品にうってつけの監督だと思います。

――ちなみに、村瀬さんはどんなお菓子が好きですか?

大好きです!炭水化物と砂糖と油、全部大好き(笑)。特に好きなのはマカロンで、多いときには一度で30個以上食べたこともあります。サクッとした食感と中のクリームがたまらないですよね…。子供の頃まで遡ると、果汁グミとか、チョコレートもよく食べていました。和菓子だとういろうとか…。甘いお菓子ならなんでも好きです。

――それでは最後に、ファンのみなさんへのメッセージをお願いします。

キャスト一同、夕方の時間帯からアフレコを始めて「お腹が空いた」と言いながらがんばって収録した作品です。みなさんにとってもお腹が空く映像になっていますので、深夜に見るときには、おやつを食べながら楽しんでいただければと思います。もちろんお菓子以外にも、戦闘シーンやキャラクターの掛け合いなど、見どころはたくさんある作品です。

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