『ラス為』ステイル役・内田真礼さんにインタビュー　悩んで、悲しんで、悔しがる気持ちが彼を可憐にする

2023年6月26日悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。

TVアニメ

7月6日（木）よりTOKYO MX、MBS、BS11ほかにて放送開始となる『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民のために尽くします。（ラス為）』。
本作は、一迅社アイリスNEOにて刊行中、シリーズ累計発行部数130万部を突破（電子書籍含む）する天壱氏による同名ノベルシリーズが原作。

乙女ゲーム「君と一筋の光を」の国と民を苦しめる最悪の女王プライドが、思い出してしまった前世の記憶を頼りに、これから起こる悲劇を回避し登場人物みんなが幸せになれる世界を目指すため、ゲーム内のストーリーを改変して国のために民のために全力を尽くしていくという物語が展開する。

ステイルは外面が良く、内面で考える人

――本日はよろしくお願いします。まずは、原作を読まれての感想を教えてください。

まずはプライドがすごく面白いキャラクターだと感じました。かなりラスボス感のあふれるヒロインが出てきたなと（笑）。
でも主人公が転生したプライドはとにかくいい人で、天使みたいなキャラクターでもあるんです。彼女だからこそ、みんなが変わって、救われていくのだと思います。その二面性に惹かれましたし、原作もサクサク読むことができました。

――ご自身が演じているステイルについては、どんな印象を持ちましたか？

ステイルは本当に真面目で真っ直ぐな人なんです。そんな性格だから堅物にも見えるのですが、行動に理念があって、「ここからどう成長していくんだろうな」と、楽しみを感じるキャラクターです。ステイルを最初に演じたのは幼少期の段階だったので、余計にそう感じたのかもしれません。

――とても真っ直ぐで、言い方を変えると幼さゆえの視野の狭さを感じるキャラクターですよね。

そうなんです。真っ直ぐであまり遊びのない人。遊びがないと言っても嫌なやつにはなりたくなかったので、例えばプライドを大事にしたいと思ったら、プライドのことだけが見えているとか、プライドにかっこいいねと言われたら顔が赤くなったりとか。不器用な一面が出るシーンはとても大切に演じました。

――監督やスタッフからは、演技に関するディレクションを受けたのでしょうか。

ステイルはとにかく外面が良い人なんですよ。だから笑ってるときの外面と、内面でいろいろと考えているところの使い分けはしっかり出そうと話し合った記憶があります。
ジルベールに対しての嫌味な感じや、逆にプライドを大事にする感じなど、実は感情が見えやすい人ですから。そこはしっかり感情を表に出すように意識しました。

この作品のキャラクターは、表情や動きが激しいのが魅力だと思うんです。見ていて深く考えなくても彼らと多分気持ちを共有できると思います。
そういったところに安心しますし、「こういう風に考えてるんだろうな」と伝わってくるので、癒される感覚があるんですよね。

――ステイルもその中の1人として、感情をはっきり見せたと。

ひょっとしたら、作品の中で一番感情が見えづらいのはプライドかもしれません。プライドは国民のために尽くしますという、全人類愛を持っている人物ですから。
ステイルだけに向けてくれる気持ちよりも、もっと大きなものを見据えているように感じました。だからこそ、周りのキャラクターはプライドに振り回されるし、見ていて楽しい気持ちになれるんだと思います。

――一方でプライドは外道な一面を見せるシーンもあります。外道プライドとのやり取りはいかがでしたか？

まず、ファイちゃん（プライド役・ファイルーズあいさん）の演技が楽しそうだなと思いながら聞いていました。「なんて楽しそうに悪役を演じるんだろう」って（笑）。
ステイルもそんなプライドと会話をするシーンがあり、逆に楽しさを感じました。ここまでいじめられることはないですし、酷い仕打ちを受けるキャラクターもなかなかいないと思うので。

そこからプライドに主人公が転生して、まったく違う表情を見せてくれるのは面白いですよね。同じプライドでもまったく別の存在として見られるので、作品全体のフックにもなっていると感じました。
とはいえ、私はもっとラスボス状態のプライドを見てみたいかな（笑）。プライドにもっといじめられたい気持ちはあります。

――ステイルのキャラクターデザインについてはどんな印象ですか？

着させられてる服もそうですけど、納得いってない感じが溢れ出ていて、とにかくかわいいですよね（笑）。
常に辛い顔しているのも印象的です。この世界において、辛い目に合わせたいキャラNo.1じゃないかと思うくらいです。でも、悩んで、悲しんで、悔しがる気持ちが彼を可憐にしていると思うので、これもまた魅力と言っていいのかなと思います。

――作中でステイル7歳から12歳へと成長していきます。その過程でキャラクターデザインも変化していきますが、印象に変化はありましたか？

メガネかけるのはエピソードとしても印象的でした。ステイルは自分ができること、できないことをしっかり頭の中で考えて、成長していくにつれて少しずつ自分の良さを発揮できるようになるのはいいですよね。
だけどステイルが元々持つ「ぐぬぬ感」は12歳になっても拭えておらず、かわいさがそのままなのも嬉しかったです（笑）。

――演技の質感は、キャラクターの成長に合わせて変化していったのでしょうか。

音の中に落ち着きを含むように意識しました。12歳のステイルでは、年齢を重ねた分だけしっかりと話せるようになって、「時が経ったんだな」と直感的に感じられたらいいなと。
12歳というと、子供と青年の間の絶妙な年齢だと思っていて。このくらいの年齢のキャラクターを演じているときは、あえて「完成していない感じ」を意識するんです。一見すると落ち着いているけど、ちょっとしたことで動揺してしまう。落ち着きと動揺の間を表現できたかなと思います。

――プライドを演じるファイルーズさんの演技はいかがでしたか。

ひとつの作品の中にラスボスのプライドと、女神のようなプライド、両極端な性格が存在して、それを演じ分けるのはすごいと思いました。
ストーリー上、プライドのモノローグが入ることも多く、時には暗くなりがちな内容もあります。それを彼女の声が持つ明るさで、暗くなりすぎないよう引っ張ってくれたと思います。