『最強陰陽師の異世界転生記』和氣あず未さん、稗田寧々さん、鬼頭明里さんインタビュー　和の陰陽師が洋の異世界へ、異質な世界観に注目

2023年1月4日最強陰陽師の異世界転生記

TVアニメ

2023年1月7日（土）よりTOKYO MX、BS11、AT-Xにて放送がスタートするTVアニメ『最強陰陽師の異世界転生記』。モンスター文庫の異世界ファンタジーシリーズを原作とする本作は、歴代最強と謳われた陰陽師・玖峨晴嘉が異世界に転生し、セイカとして狡猾に生きる様を描いた作品だ。

今回は、イーファ役の和氣あず未さん、アミュ役の稗田寧々さん、メイベル役の鬼頭明里さんにインタビューを実施。セイカを取り巻く女性キャラクターを演じる3人は作品のこと、そしてキャラクターのことをどう見ているのかを伺った。

主人公のセイカはひどい男？　切なさの詰まったエンディングテーマにも注目

――本日はよろしくお願いします。まずは、原作を読んだ印象を教えていただいていいですか？

和氣さん：私の中のイメージだと異世界転生ものは勇ましい男の子が登場するイメージだったけど、この作品は幼い子供のころから始まるんです。だから物語も平和な感じから始まっていくのかな？と思っていたのですが、残酷な描写が結構ある作品でした（笑）。私はそういう作品も大好きなので、読み進めていくのがすごく楽しかったです。

稗田さん：転生ものは今までもアニメやラノベで触れてきましたけど、陰陽師を取り扱うのは新しいと思いました。こういった作品で転生したとき、洋風な世界観が多いじゃないですか。この作品は日本の要素が頻繁に出てくるのですごく新鮮でした。

鬼頭さん：異世界と陰陽師が結びつくのは確かに新しいと思いました。陰陽師って、聞いたことはあるけどどんな存在なのかいまいち分かっていなかったので、そこを知ることができたのもよかったです。意外と残酷な術を使ったり、結構闇が深いんだなと思いました（笑）。

――みなさんが演じているキャラクターの魅力についても教えてください。

和氣さん：イーファちゃんは見た目もすごくかわいいんですけど、立場としてはランプローグ伯爵家の奴隷で、ちょっとかわいそうな生まれの子です。だけど将来に絶望しているわけでもなく、セイカ君と一緒にいられることが幸せと感じる、前向きな気持を持っています。だから周りのみんなも自然と笑顔が増える、そんな魅力を持った子です。
最初はおどおどしていて、あまり自分の意見を言えないですけど、話数を重ねていくうちにセイカ君に自分の気持を伝えられるようになっていきます。徐々に大人っぽくなっていくところが素敵ですね。

稗田さん：イーファちゃんは従順すぎて、見ていて心配になりますよね（笑）。セイカ君だから無事だったけど、騙されないかな、大丈夫かなと心配な気持ちになります。

イーファ

――（笑）。では、稗田さんが演じるアミュはいかがですか。

稗田さん：最初、それこそオーディションを受けたときは、すごく強くて周りを寄せ付けない一匹狼的な印象がありました。本人も自分が強くて戦いが好きという自覚があるから、自分からも周りにあまり近づかないというか。
精神的にも自立してて強そうに見えるけど、強いが故の孤独も感じている一面があります。そこは人間味があって、魅力的に映りました。
セイカ君やイーファと関わっていく中で、だんだん歳相応の無邪気さとか、かわいらしいところも出てきます。色恋の話題に興味がある、等身大のところが徐々に出てくるのがすごくかわいかったです。

和氣さん：最初はツンデレというよりただの冷たい人ですよね（笑）。そこから徐々にデレな部分も見えてきて、年相応な印象に変わっていきました。

鬼頭さん：私はアミュのサバサバしているところも印象的でした。周りに流されず、みんなを引っ張ってくれる存在、話を動かしてくれる存在という印象が強かったです。

アミュ

――鬼頭さんが演じるメイベルは、物語の途中からさらに加わるキャラクターですよね。

鬼頭さん：そうですね。メイベルは重たい生い立ちで、かわいそうな子ではあるんですけど、それを経て本当のメイベルの性格が出てくると、意外とかわいらしいキャラクターであることも分かってきます。みんなの妹キャラです。
辛い過去があっても、それを乗り越える心の強さを持っているし、だんだんとイーファに懐いてくるのもかわいいポイントです。あと、意外とお勉強ができないところも（笑）。

稗田さん：メイベルは、最初は感情が分かりづらくて、隙がない女の子という印象から始まりました。だけど物語が進むと「勉強イヤだ」なモードに入ることもあって、そこのギャップに私はキュンとしました。

メイベル

――どのキャラクターも物語の中で成長を見せる部分があると思いますが、オーディションではまず、どんなアプローチを掛けたのでしょう。

和氣さん：テープオーディションだったので、監督さんや音響監督さんがどんな演技がほしいのか分からない状態でした。原作を読んでいくうちに、イーファの内面もなんとなく掴めたので、あとはそれを思うがままに演じたのが最初でした。
撮った時も自分の中ではこれでいいだろうという自信はあったので、オーディションと本番のアフレコで変えることもなかったです。

稗田さん：私の場合、オーディションの原稿にアミュが初めて女の子らしい、無邪気なところを見せるシーンとかもあったので、そのギャップが重要なんだろうなと直感で分かりました。
最初のすごく冷たい人物から、セイカ君とのやり取りを経て、思ったことをついつい言っちゃう感じに変化していく雰囲気は当時から意識していました。

鬼頭さん：私はオーディションだとまったく逆で、初期の暗い雰囲気のメイベルを演じました。その後テスト収録をする機会があったのですが、今度は「勉強イヤだ」なかわいらしいシーンがきたので、そこで初めて「どうしたらいいんだろう」と考えました。
結局のところメイベルは等身大の女の子で、心も強く、辛い過去を乗り越えた先が本来のメイベルだと思うんです。だから基幹的には、セイカ君たちと打ち解けたあとのメイベルが素の部分だと考えて演技しました。

――作品のストーリー、世界観の面ではどんな魅力を感じましたか？

和氣さん：強く印象に残っているのが、セイカ君が使う術がすごく難しそうだな、ということです（笑）。花守さんも収録前に口に出して練習されていたんですけど、言葉がまず難しくて驚きました。自分が口に出したこともないような単語ばかりで、すごくかっこいいと思いました。

稗田さん：台本を読んでいると、私が知らない漢字が並んでいるのは新鮮でした。花守さんも毎回収録前に確認されていて、めちゃくちゃ大変そうだったのを覚えています。そんなセリフがどんどん飛び出してくるのもこの作品の醍醐味だと思います。
あとはやっぱりセイカ君のキャラクターがこの作品の肝になっています。見た目は優しそうだけど、モノローグでは本心が見え隠れするギャップ。花守さんの演技もあいまってゾクッとします。

鬼頭さん：異世界に転生するだけでも異質なのに、その世界のものじゃない術を操っているのが異質さを強めています。妖のユキちゃんを異世界まで連れてきているのも新しいというか、「一緒に転生できるんだ」と驚きました（笑）。
セイカ君とユキちゃんの転生チームと、元々その世界にいる異世界チームで知識に差があるのも面白いです。

――皆さんの目から見て、主人公のセイカはどのように感じましたか？

和氣さん：イーファは心からセイカ君のこと好きなんですけど、セイカ君自身はイーファのことさえ利用しようと考えていて、本当にひどい男なんです（笑）。ただ、物語が進んでいくにつれて、仲間に対して情が移ってきているのもわかります。そこは憎めないところですね。

稗田さん：セイカ君は飄々とした態度とか、サラッとエグい攻撃をするあたりは恐くもあり、かっこいいところでもあると思います。セイカ君もセイカ君で大きな孤独を背負っていて、その孤独を知っている人たちが集まり、お互いに影響を受けていくのが物語の軸でもあります。私自身も成長するヒロインを演じて、心動かされるものがありました。

鬼頭さん：セイカ君は…すごくモテる（笑）。子供の体に大人の魅力が詰まっているキャラクターです。私は声がついたアニメだと、原作以上に色っぽさを感じられると思いました。

――3人でエンディングテーマも歌っていますが、こちらの感触はいかがですか。

和氣さん：本格的なアフレコが始まる前のレコーディングだったので、アニメの本編を合うかどうか、不安な気持ちもあったんです。だけどアフレコ中に少しだけ聞ける機会があって、アニメともマッチしているので安心しました。すごいエンディングらしい、心休まる、温まるような楽曲です。

稗田さん：最初は自分1人での収録だったので、3人の歌声がどんな仕上がりになるのかドキドキしていました。キャラも違うからもちろん声質も違うし、楽曲の中でそれぞれ聞き分けもできます。そして3人の声が交ざり合い、綺麗な1本になっているみたいでとても良い曲でした。明るくもあり、心がギュッとなる切なさも詰まった楽曲で、今でもふと口ずさむくらいです（笑）。

鬼頭さん：「女性キャスト3人で歌う」と聞いたときは、もっとにぎやかな楽曲になると思っていました（笑）。蓋を開けてみたらゆったりとしたメロディで、心が温まる雰囲気に驚きました。その中に、なにかしらの陰を持つヒロインたちだからこその切なさもあるので、アニメ本編のストーリーと合わせて楽しんでもらいたいです。