『魔法使い黎明期』ホルト役・鈴代紗弓さんにインタビュー “元気っ子”だけじゃない、かわいさに振り切った演技

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2022年4月より放送中のTVアニメ『魔法使い黎明期』。かつてアニメ化もされた『ゼロから始める魔法の書』と世界観を共有する本作品の舞台となるのは、500年間対立していた教会と魔女の和平が成立してから数年しか経っていない黎明期。魔法学校に通うも成績はいつも学年最下位、さらに入学以前の記憶を失っている主人公・セービルが、心に傷を隠した仲間たちと共に数々の試練や陰謀に立ち向かい自分を見つけていく。

今回は、セービルと行動をともにする秀才少女のホルト役・鈴代紗弓さんにインタビューを行った。作品やキャラクターの魅力、そして「ロス役も受けた」というオーディションの思い出まで、さまざまな話を聞くことができた。

プラスアルファをどう入れられるか、試行錯誤の収録

――本日はよろしくお願いします。まず、『魔法使い黎明期』への出演が決まったときの感想から教えてもらえますか。

実はオーディションのとき、ホルトの他にロスも演じさせていただいて、どちらもとても楽しかったんです。また、同じ世界観の『ゼロから始める魔法の書』とのつながりに面白さを感じていました。そんな世界の一員になれると決まったときは、やっぱり嬉しかったですね。

――同じ世界観だけど続編ではないという展開は、たしかに珍しいですよね。

『ゼロから始める魔法の書』のゼロと傭兵の掛け合いが大好きで、そのテンポは今回も健在なのも嬉しかったです。なにより、TVアニメとして放送されたのはもう5年も前ですからね。時間がかかっても同じ世界をアニメで表現してくれること自体すごいことだと思います。私自身、アニメ化が正式に発表される前にSNSで「『魔法使い黎明期』もアニメ化してほしい」というコメントを見て、こっそり笑顔になったりしていました(笑)。

――(笑)。では、『魔法使い黎明期』の原作に対する印象はいかがでしたか?

コミカルな表現も多く、決してネガティブな雰囲気にはならないのがいいですよね。その一方で獣堕ちに対する周囲の反応など、シリアスな一面もあります。多くの人が見て、考えなければいけないテーマを持った作品だと思います。

――オーディションのお話も聞かせてください。ホルトとロス、2人の受けたんですよね。

そうですね。2人とも魅力的なキャラクターでしたが、特にホルトは赤髪で褐色というビジュアルに惹かれました。以前に似た特徴を持つキャラクターを演じたことがあったので、シンパシーを感じたというか(笑)。だからこそ、以前の私の演技とは似ないようにと考えながらのオーディションでした。ジャンルで言うと“元気っ子”ではありますが、そこにプラスアルファ、ホルトだからこその演技を意識しました。

一方のロスはいわゆる“のじゃロリ”で、経験のないジャンルでした。だからこそ挑戦してみたい気持ちもあったし、オーディションではホルトと同じくらい全力を出せたと手応えもありました。蓋を開けてみたらロス役は同期の美保(岡咲美保さん)に決まって、これは納得の配役だと感じましたね。

――そんな岡咲さんとの共演はいかがですか?

同じ作品に出演することはあっても、ここまでガッツリとした共演は初めてなので、なんだか新鮮な気持ちでした。美保の演じるロスは、美保の良さがすべて詰まっているので、聞いているだけで楽しくなります。彼女は出身が岡山県で、語尾に「じゃ」が付くことがあったりして。それがうまい具合にマッチしているので、この配役以外は考えられないですね。

――では、セービルやクドーといった仲間たちは、鈴代さんにはどのように映っていますか?

アフレコ現場で梅田くんの演技を見ていて、セービルは難しそうなキャラクターだと感じていました。。感情はあるけど出しかたが分からないことを演技で表現するにはどうするんだろうと、梅田くんの演技に興味深々でした。。

クドーは原作のころから好きなキャラクターで、実はめちゃくちゃ良いやつなんです。そこに八代さんの演技が加わることで、さらに良いやつ感が増した気がします。行動をともにして関係性が深くなるに連れて、クドーはどんどん”いじられ愛されキャラ”になっていくんです。そのことについてクドー自身も自虐したり、ちょっとしたかわいらしさも見え隠れしていいですよね。

――感情を表に出すのが苦手なセービルとの会話シーンでは、どんなことを意識しましたか?

セービルは感情を表に出すのが苦手で、会話の中でホルトが欲しい答えを得られない場面もあったと思います。でも、ホルト自身も「セービルはこういう子だ」と分かっているはずで、諦めない粘り強さとか、優しさとかを全面に出せるように意識しました。

――実際に放送された本編を見て、ご自身の演技はどう感じましたか。

仮の映像にボイスを載せた映像は事前に拝見しておりましたが、放送では音楽が乗り、クオリティも上がっているので印象が変わりました。4人でRPGのパーティを組んでいる感覚がよりリアルに感じられました。
これまで、ほかの作品の収録だと、事前に台本を隅々までチェックするタイプだったんです。しかし今回はあえて詰め込まず、現場でアドリブが効くように心がけたんです。もしかしたらそれが上手くはまって、4人の仲間から生まれる空気を作り出せたのかもしれません。

――細かいところにも、以前の作品にはなかったチャレンジが詰まっていると。

やっぱり、かつて私が演じたキャラクターに似せたくない思いが強かったんです。プラスアルファをどう入れられるか、試行錯誤しながらの収録でした。

――具体的に、ホルトに対してはどんなプラスアルファを入れられましたか?

「かわいいに振り切った」というのは、ホルトならではの演技ですね。例えば第1話でも「も~」とか、「知らないからね!」とか、かなりかわいく演じています。今までだと同じセリフでも、ちょっと怒鳴り気味になることが多かったのですが、今回はオーバーなくらいかわいく表現しています。

――かわいさに振り切ったホルトというのは、今後のエピソードでも楽しめそうですね。

それは間違いないですし、徐々に変化していくホルトにも注目してほしいです。第1話だとセービルとホルトが火を囲むシーンがありましたよね。あの場面ではまだまだ初々しかったホルトのイメージがいい意味で覆されていきます。一歩前に踏み出し、殻を破る姿は楽しみにしてほしいです。

――分かりました。では、中盤以降のストーリーについて、注目してもらいたいポイントがあれば教えてください。

ひとつはホルトの成長と変化、もうひとつは泥闇の魔女がどうストーリーに絡んでくるかですね。キャラクターここからどんどん増えてきて、かわいい子もいれば、「なんだこいつは!?」と思う人物もいます(笑)。そんな新しいキャラクターとセービルやホルトがどんな会話を繰り広げるのか、その一点だけでも十分に楽しめる作品だと思います。

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