『かくしごと』神谷浩史、高橋李依ら出演のスペシャルイベントのレポートが公開。トークや朗読劇、劇場編集版の制作も発表

イベント

4月2日よりTVアニメが放送された『かくしごと』について、「スペシャルイベント ~こんなイベントやって姫にバレたらどーする!~」が12月12日、埼玉・ウェスタ川越で開催された。

鷲崎健が司会のもと、後藤可久士役・神谷浩史、後藤姫役・高橋李依、十丸院五月役・花江夏樹、志治仰役・八代拓、墨田羅砂役・安野希世乃、筧亜美役・佐倉綾音、芥子駆役・村瀬歩、マリオ役・浪川大輔 、古武シルビア役・小澤亜李、東御ひな役・本渡楓、橘地莉子役・和氣あず未と豪華キャスト陣が登壇し、トークやバラエティ企画、朗読劇などの企画が行なわれた。

昼の部

オープニングでは浪川さんがイベントの成功を祈って「エイエイオー!」と気合いの掛け声を披露したものの、キャスト陣は反応せず……。思わず「一緒にやってよ!」とツッコミを入れる浪川さん。会場はいきなり楽しいムードに包まれた。

最初は男性陣を中心に、「作品に関する思い出エピソード」で盛り上がり。
神谷さんは「原作の漫画が発売されたとき、CMのナレーションをしたのですが、そのときはまさかアニメ化するとは思っていませんでした。アニメのオーディションを受けたのち、村野佑太監督から『神谷さんで大丈夫』とおっしゃっていただいて。監督が『僕に任せたい』と思ってくださったのなら、ということで、やらせていただきました」とコメント。
なお、佐倉さんも別の『久米田作品』で共演していたということもあり、ふたりが先導するようなイメージでアフレコを進めていったという。

花江さんは「十丸院は悪いところを誇張したようなキャラクターだと思いました(笑)。彼は当たり前のように嫌なことを言うので、それを押し付けないように演じた結果、あのようなキャラクターが完成したんです(笑)」、八代さんは「志治は、仕事はできるほうだと思うのですが、彼から物語が動いていくことがあまりないんですよね(苦笑)。でも、志治が後藤先生の作品が好きだという気持ちを表現できるように演技をしました」、村瀬さんは「『ほかのキャラクターもオーディションを受けたい』、と思っていたのですが、マネージャーから『駆がぴったりだと思うから、この役だけで』と言われました。駆はほかのキャラクターにツッコミを入れても無視されてしまったりするので、僕のなかで『自分がマネージャーからどう思われているのだろう?』と不信感が募りました(笑)」と話し、笑いを誘っていた。

なお、浪川さんは「(マリオの)走っている姿、やられる姿、会話している姿、すべてが最高です!」と一言でまとめた。

続いては、「好きな男性キャラクター」について、女性陣を中心に話が弾む。

安野さんが「後藤先生です。ダメなところはたくさんありますが、姫ちゃんの前ではちゃんとしたいという気持ちが伝わってきたり、自尊心の低いところは好きです」、
小澤さんが「このなかなら後藤先生です。愛情深いのが一番いいですよね」、
本渡さんが「迷ったのですが、志治さんです。男性陣のなかで寡黙で受け身な人は志治さんなので」、
高橋さんが「石川なんとかェ門です。内山昂輝さんに『姉さん』と呼ばれたのがすごくうれしかったので(笑)」と答えた一方、
佐倉さんはなんと「該当者なし」。「愛せない欠陥(を持っている人物)が多すぎるんですよね。健康的な人がひとりもいないので……」と苦笑いしながら理由を語っていた。

続いて、登壇者たちが事前に選んだ「思い出に残っているシーン」について映像付きで紹介。

神谷さんは第1号(話)で姫が「無色と無職」をかけて話したシーンをセレクト。「久米田先生の作品は基本的に『悪質なギャグ漫画』なのですが(笑)、ここは『うっかりいいシーン』です」とコメント。

小澤さんが第7号(話)で出てきた「漫画家の十戒」のシーンを挙げ、
「後藤親子の会話はたくさんありすぎて選べなかったので、ほかにインパクトのあったシーンを選びました。久米田先生がこんなナイーブな十戒を書かれていて、一時停止をして、全部読んでしまいました」と語った。
すると、ここからキャスト陣が「声優の十戒」を挙げていくことに……。神谷さんは「声優とキャラクターは別物です」、花江さんは「キャラクターに声が合っていないと言わないでください!」、そして浪川さんが「朝一から高い声は出ません!」と叫ぶなど、心の声がたくさん飛び出し、ステージは爆笑に包まれた。

多くのキャストが選んだのが、犬(ロク)を姫が飼うことになったシーン。
ロクを花江さんが演じたことについて、八代さんが「お芝居にビックリしました。あれ、犬(の演技)ですか(笑)?」と質問。すると、花江さんから「メインキャストに兼役を振る、というのは、普通の犬ではなくてもいいのかな? と思いまして。悪質なギャグのつもりで演じてみたら、まさかのOKをいただきました(笑)」とマル秘エピソードが語られた。

「~ギリギリルーレットーク~!隠し事は何ですか?」は、スクリーンに表示された、キャストの名前が入ったルーレットを回し、当たってしまったキャストは「かくしごと」を発表しなくてはならない、というドキドキのコーナー。
一番ギリギリのエピソードを話した人にはお食事券がプレゼントされる、ということで、当てられたキャストは自身の秘密を赤裸々に暴露していく。

村瀬さんが「いままで2回、事務所をクビになりそうになった」、小澤さんが「脳年齢を調べたら、72歳でした」など、衝撃的な隠し事が白日の下にさらされるなか、八代さんから「恥をしのんで、浪川さんに楽屋でサイン(?)をいただいてしまいました」というインパクト絶大のエピソードが紹介され、浪川さんとの協力プレイ(?)に対し、お食事券(一万円分)が贈られた。

続いて、シリーズ構成・脚本担当のあおしまたかし氏が書き下ろした脚本による朗読劇「トニカクカワゴエ」。
推しアニメのイベントチケットをゲットし、亜美がよろこぶところから物語が始まり、いままさに開催されているアニメイベントについての「あるある」が続々と飛び出し、会場は笑いに包まれた。
また、学芸会で劇をやることになったという、姫たち“めぐろ川たんていじむしょ”とのほほえましい(?)やりとりなど、見どころ満載の劇となった。

朗読を終えた神谷さんは「久々に可久士を演じましたが、こうしてみんなで一緒にやるとドラマとして成立するんだな、と思いました」とコメントした。

最後は、大槻ケンヂとめぐろ川たんていじむしょによるライブステージ。
まずは、めぐろ川たんていじむしょの4人がアニメのエンディングテーマ「君は天然色~めぐろ川たんていじむしょver.~」をイベントスペシャルバージョンで歌唱。4人が楽しそうに前後に腕を振りながら、仲良く楽曲を披露した。
さらにここでスーツ姿の大槻さんが登場。「こうして真ん中に立つと、親戚のおじさんみたいですけど(笑)」と照れながらも「愛がゆえゆえ」を5人で歌い上げ、会場からは自然と手拍子が沸き起こった。

大槻さんと神谷さんは、大槻さんが「もりどくん」のアフレコでスタジオに行った際に会って以来で、久々の再開にお互い笑顔をみせていた。

最後は神谷さんから「こうして久しぶりにキャストがそろい、イベントをお届けできてうれしいです。僕は久米田康治作品が大好きで、その気持ちを持ってアフレコをさせていただきました。いまここにいるみなさんも、作品を愛してくださっていると思いますし、こうして時間を共有できて良かったです」とメッセージが贈られ、昼の部は終了した。

夜の部

夜の部では、女性陣が「作品に関する思い出エピソード」を語っていく。
高橋さんは「オーディション会場に緊張感があり『この作品は相当な力が入っているぞ』と感じていました。ずっとご一緒したかった神谷さんが父親役だったので、よろこびもひとしおで。久米田先生作品ということでプレッシャーもありましたが、『神谷さんがいるから大丈夫』と、遠足に行くような気持ちでアフレコに臨めました」と話すと、神谷さんは「高橋さんはとても真面目なので、色々と考えながら演じているのが伝わってきましたね」とアフレコをしていた当時を思い出していた。

安野さんは「羅砂は『すごくいい女』で、『できた女感』を出すのはずっと自分のなかで課題で、アフレコが始まってからも音響監督さんからディレクションを受け続けました。神谷さんから『もうちょっとギャルでいいんじゃない?』と言われたのが印象的でした」、
佐倉さんは「『オーディションを受けられる役は全部受けさせてください』とお願いし、姫を演じたら『闇を隠しきれていない』と言われまして……(苦笑)。筧を演じてみたら『佐倉さん、こっちだね』と言われました(笑)」、
小澤さんは「姫は最初、子役にする可能性があったらしいんです。オーディションを受けたとき、私の前後は子役の方で、私に対しても『子役っぽく演じてください』とオーダーがあったのを覚えています」、
本渡さんは「私はオーディション当時、姫を演じたい気持ちがとても強く、マネージャーさんから『ひな役で受かりました』と言われたときも、『え? 姫? ひな?』と混乱してしまいました(笑)」、
和氣さんは「大人同士の会話劇も面白いですが、子どもたちのやり取りも楽しかったです」とそれぞれ語った。

続いて、男性キャスト陣に「好みのタイプの女性キャラクター」をリサーチ。

神谷さんは「羅砂です。僕は関わっている役目線でしかキャラクターのことを見られず、『姫かそれ以外』という選択肢のなかで、事務所にいる女性陣では、一番マシなのが羅砂かな、と(笑)。たくさんの女性から想いを寄せられているのに、全然なびかない後藤可久士をかんがみて、選びました」、
八代さんは「羅砂です。姫ちゃんという選択肢もあったかと思いますが、『姫ちゃんにいったら、後藤先生に殺されるんじゃないか?』と思いまして……(笑)」、
村瀬さんは「羅砂です。経済力が大事なので。見た目は少しチャラそうな感じですが、しっかり仕事ができて、発する言葉も芯をとらえているので」、と、予想通り(?)羅砂が圧倒的な人気。
浪川さんは「姫です。子どもであれだけ気が遣えるのに、大人になったらどうなってしまうのか?」とコメントしたところ、登壇者からは「ロリコン!」というツッコミが(笑)。
なお、花江さんは「姫です。アフレコしているときは羅砂でしたが、姫のことをどうしても『パパ』目線で見てしまうんですよね。大人になったらどうなるんだろう? というワクワク感があります」と、2児のパパになったばかりの自分と重ねてしみじみ語っていた。

続いては「思い出に残っているシーン」について語っていく。

安野さんは第9号(話)の「忘年会を楽しみにしているアシスタントたち」のシーンをチョイス。
「芥子君がいい味を出しているんですよね。村瀬さんの『ぼかあ』という言い方が大好きです!」と絶賛すると、村瀬さんは「その一言で、報われた気がします」と笑顔を見せていた。

本渡さんがセレクトしたのは、第7号(話)の成長しためぐろ川たんていじむしょのメンバーたちのシーン。「アニメでは大きくなった彼女たちのストーリーが色々なところで描かれていて演じたとき、不思議な気持ちになったのが印象的でした。大きくなった彼女たちを観られたのはうれしかったですし、姫ちゃんがどうなってしまったのか、明確にされていないところがいいですね。切なくなるような描写が好きでした」、

そんななか、多くのキャストが挙げたのが、最終回の第12号(話)「姫が病院から鎌倉の家に駆け出していくシーン」。
神谷さんが「悪質なギャグ漫画なので、うっかり感動してしまうのですが(笑)、アニメーションの基本は絵を動かすことだと思いますし、姫が走るだけで感動できちゃうんです。アニメーションの醍醐味が詰まっているシーンで、『アニメっていいよな』と思いました」と語ると、高橋さんは「実は家でテストで演じてみたところ、泣いてしまって。『家で一度泣いてしまったら、スタジオではこの気持ちを抱きながら演じることができるのだろうか』 と不安でした。でも本番でも涙が出たんです。それは、姫目線での心情や時の流れをすごく丁寧に描いてくださっていたからだと思いますし、その演出に助けられて最後まで走り切れました。このチームで作れてよかったです」と続けた。

「~ギリギリルーレットーク~!隠し事は何ですか?」では、指名された佐倉さんが突然「八代さん、服を脱いでください!」といい放ち、場内は騒然。それを受けた八代さんは、浪川さんにサイン(?)をもらったシャツを見せながら「実は昼の部が終わったあと、神谷さん以外のキャスト全員分のサイン(?)をいただきました」と告白!
それを受けた神谷さんは「実は僕、花江君の服にサイン(?)を書いたんです」と、こちらも衝撃の事実を語りつつ(笑)、八代さんのシャツにその場で「くめたこうじ」と書きこむという、サービス精神が旺盛のなところを見せ付けた。
なお、最終的に一連のやり取りの「仕掛け人」となった佐倉さんがギフト券をゲットした。

夜の部の朗読劇のタイトルは「さよなら絶望シーズン」。

姫に自分が漫画家だという「かくしごと」がバレそうになる後藤先生が、ヒヤヒヤしながら
「G-PRO」(ゴトープロダクション)のメンバーに顛末を話すと、クリスマスや年末に展開される「かくしごと」について盛り上がる。
一方、姫たちの学校では「クリスマスプレゼントは誰が用意してくれているのか?」という話題で大盛り上がり。家に帰った姫が可久士に「お父さんにクリスマスプレゼントをもらえるのは、私だけならうれしいな」とおねだりし、和やかなムードに包まれた。

昼の部に続き、朗読を終えて改めてステージに登場した神谷さん。イベントの直前で出演ができなくなってしまった六條一子役・内田真礼さんの代わりに浪川さん(マリオ)が物語をフォローしたことを挙げ「困ったときの浪川さんですね。みんなの力をフルに使い、苦肉の策ではありますが、無事お届けすることができました」と、チームワークの強さを感じさせるコメントをした。

夜の部最後も、大槻ケンヂとめぐろ川たんていじむしょによるライブステージ。
めぐろ川たんていじむしょの4人がアニメのエンディングテーマ「君は天然色~めぐろ川たんていじむしょver.~」をイベントスペシャルバージョンで歌唱。会場に4人のハーモニーが響き渡った。

続いて登場した大槻さんは、もりどくんのアフレコについて「思ったよりも早く収録が終わったので、そのあとスーパー銭湯に行きました」と裏話を語りつつ(笑)、優しい光に照らされて「愛がゆえゆえ」を披露した。

長かったイベントもいよいよエンディング。ここで原作者の久米田康治先生がサプライズゲストとして登場。
「これだけの豪華なキャスト陣がそろっていて、何のイベントか分からないかもしれませんが、一応『かくしごと』という作品のイベントですので、忘れないでください」と会場を笑わせ、「もうそんなに先がないので『どうでもいいや!』という思いで、来てしまいました。あと一本ぐらい作品を書けたらいいな」と遠慮がちに今後の構想を語った。

さらに、ここで「劇場編集版の制作決定」という、うれしいおしらせが! 会場からは祝福の拍手が上がった。

久米田先生はその内容について「姫たちの『18歳編』をメインに編集していく予定です。僕の39年のギャグマンガ人生を全否定した内容になりそうですが(笑)、楽しみにしてください」とコメント。

神谷さんは「本来は漫画と、アニメが同時に終わる予定だったのに、そのスケジュールが変わってしまったので、アニメと原作で少しだけ違ったエンディングをお届けすることになりました。なのでやはり『原作通りのエンディングがどうしても作りたくなってしまった』と思うんですね。
なので原作に準拠したより美しい作品になるのでは、と思っています。可久士の奥さんとの絡みも増えると予想しますので、気合いを入れてアフレコに臨みたいです!」とアフレコへ向けての想いを語り、さらに「久米田先生がもう一作品生み出してくださるなら、そのときは僕もまたぜひ出演したいです!久米田先生の次回作にご期待ください!」と意気込んでいた。

<Text/佐伯敦史>
<Photo/石垣星児>

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©久米田康治・講談社/かくしごと製作委員会