『ヘブンバーンズレッド』や、数々の人気TVアニメの主題歌で知られる、やなぎなぎのライブコンサート「やなぎなぎ 『color palette ～2023 Red～』が、9月30日に品川プリンスホテル クラブeXで開催された。「color palette」は各回で色を定め、それをモチーフにしたセットリストや舞台づくりをする、やなぎなぎのライフワーク的な公演だ。２年ぶりの開催となった今回の色は「赤」。会場の扉を開けると、そこには思いも寄らない光景が広がっていた――。
品川プリンスホテル・クラブeXは円形のホールで、そのバルコニーからは紅白の幕が掛けられ、提灯が吊るされていた。公演がスタートすると、まず聞こえてきたのは三味線と太鼓の音。何と赤からインスパイアされた和風を公演のモチーフに採り入れてきたのだった。ヨーロッパ的ファンタジーの楽曲も多いやなぎにとって、これはまったくの新境地。アジアンテイストのワンピースに袴風の巻きスカートをまとって登場して歌ったオープニングナンバーは「voke」。エレクトリカルで可愛らしい声の原曲から、三味線のリードに呼応し情熱が込められた歌い方になり、バンドサウンドとも見事にマリアージュしていく。今回、和のアレンジを手掛けたのは人気ボカロP・rukakuによるもので、三味線は津軽三味線小山流師範で、『刀剣乱舞』宴奏会などにも出演した小山清雄が奏でた。やなぎ自身もMCで「こんなに間近で演奏を見るのは初めて。三味線が1本入るだけでこんなにも楽曲のイメージが変わる」と語るだけあり、それぞれの楽曲を新鮮に聞かせていく。
『color palette』恒例のカバー曲コーナーでは倉木麻衣の「渡月橋 〜君 想ふ〜」（『名探偵コナン から紅の恋歌』主題歌）を、これまた三味線とアコギで、懐かしさを覚えるような泣きのメロをしっとりと歌い上げた。もう1曲はAimerの「茜さす」で、ピアノを中心とした伴奏にビブラートを乗せ、情景を思い描かせるように歌っていった。後半戦には、『ヘブンバーンズレッド』から「Burn My Universe」と「きみの横顔」をドロップ。ここでは原曲スタイルで、ロッキンなギターとビートの強いドラムに乗せてテンション高く歌い上げ、客席からもコール・アンド・レスポンスやクラップが沸き起こる。「きみの横顔」でもウィスパーから深い低音までの歌声を次々と繰り出し、サビでは目を瞑り世界に浸りきったようすで歌う姿が印象的だった。
本編ラストには6月にリリースした『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』10周年記念ソング「ユキハルアメ」を青春感を全力で弾けさせて歌ったあと、アンコールでは新曲「命火」を初披露。これは10月7日より放送開始されるTVアニメ『最果てのパラディン 鉄錆の山の王』のオープニングテーマで、10月4日に先行してリリースされる楽曲。変拍子がありつつも躍動するアグレッシブな楽曲で、これからのセットリストを彩る1曲になりそうだ。オーラスは『color palette』のラストの定番「link」を、この日ならではの三味線アレンジで披露。叙情的なメロディ相性が良く、手拍子に乗せてリリカルに歌い上げ大きな歓声に包まれた。最後のMCで来春に7thアルバムのリリースとそれに伴うツアーを告知した。現在、鋭意制作中とのこと。この日に披露された新たな領域の楽曲たちから、大きな期待を持って迎えたい作品になりそうだ。
■やなぎなぎ color palette ～2023 Red～
2023/09/30 at品川プリンスホテル クラブeX
＜1st公演セットリスト＞
M1 voke
M2 BiblioMonster
M3 here and there
M4 標火
M5 渡月橋 〜君 想ふ〜(倉木麻衣)
M6ワインレッドの心(安全地帯)
M7 キミミクリ
M8 夏のステラ
M9 一切は物語
M10 オラリオン
M11 オーバーレイ・ワールド
M12 Burn My Universe
M13 White spell
M14 rooter’s song
M15 ユキハルアメ
M16 homeward journy（新曲：10月4日デジタルリリース）
M17 link
＜2nd公演セットリスト＞
M1 voke
M2 BiblioMonster
M3 here and there
M4 標火
M5 渡月橋 〜君 想ふ〜(倉木麻衣)
M6 茜さす(Aimer)
M7 キミミクリ
M8 夏のステラ
M9 一切は物語
M10 オラリオン
M11 オーバーレイ・ワールド
M12 Burn My Universe
M13 きみの横顔
M14 rooter’s song
M15 ユキハルアメ
M16 命火（新曲：10月4日リリース）
M17 link
