声優は日々、どんな仕事をしてる?アニメにゲーム、ナレーションも…代表的な6つの仕事を紹介

声優

アニメを制作する上で欠かせないので、キャラクターに命を吹き込む声優の存在だ。老若男女、ありとあらゆる人物を演じ分け、時には動物も、ロボットも演じる声優は、アニメを彩るのに欠かすことはできない。

それと同時に、声優が働く場所が増えて、アニメ以外でも名前を目にする機会が多くなった。声を使った仕事は一体どんなものか、代表的な6種類を紹介していく。

アニメ

声優の代表的な仕事であるアニメ作品の出演。監督をはじめとした主要スタッフに指名を受けて出演するケースと、オーディションを勝ち抜き、役をもらうケースがあるが、大半が後者と言われている。有名な声優であってもそれは同じで、知名度があっても落選することは日常茶飯事だ。

アニメに出演する上で重要なことは、キャラクターの喜怒哀楽を声だけで表現することにある。役柄に応じた台本を読み込む。役のセリフや感情の変化、物語の流れなどを理解するために、反復して台本を読み込むことが必要。

収録には、アフレコとプレスコの2種類がある。アフレコはアフター・レコーディングの略で、アニメの絵をある程度完成させてから音声を録音することを指す。「ある程度完成」といっても、完成の具合は作品によって様々。すでに動きがついている場合もあれば、線画の状態、あるいは絵コンテを見て収録に臨むこともある。

もうひとつのプレスコはプレスコアリングの略で、アフレコとはまったく逆の収録方法を指す。まずは音声を収録し、その音声に合わせて映像を作っていくのだ。アフレコと比較すると、アドリブが効くし、より自由な発想で演技が可能になる。裏を返すと、アドリブに対応できないとプレスコで実力を発揮できないとも言える。

ゲーム

家庭用ゲームはもちろん、スマートフォンアプリでもキャラクターに声がつくことが珍しくない時代になった。

ゲームに登場する主要キャラクターを演じる場合は、アニメと同じくキャラクターの喜怒哀楽を声だけで表現すること、そのために役柄に応じた台本を読み込むことが重要になるのは変わらない。

また、ゲームで多いのが一部分にだけ声を乗せる、いわゆる「パートボイス」の収録だ。バトルシーンで攻撃を繰り出す際の叫び声や、攻撃を受けたときのうめき声。「ふーん」「おおっ」といった相槌など、短いセリフで感情を表す能力が求められる。

ゲームと言えば、海外で制作された「洋ゲー」の日本語吹き替えも仕事のひとつ。すでにゲームの映像が完成された状態なので、感情を表現するだけでなく、キャラクターの表情や口の動きに合わせて日本語を乗せていかなければならない。

ラジオパーソナリティー

ラジオパーソナリティーは、ラジオ番組における進行役。声優の場合は、様々なテーマに沿った番組を任されることもあれば、出演したアニメやゲームに関連した番組に出演するケースもある。

ラジオパーソナリティーに求められるのは、しっかりとリスナーに情報を届けられる発生をすること。そして、ラジオは複数のパーソナリティーと一緒に進行したり、ゲストを迎えたりと、すべてが1人で終わることは少ない。相手からテーマに沿った話を引き出したり、逆に自分からトークを展開したりといった会話力が求められる。

そんなトークを実現させるためにも、番組のテーマに合った知識を得ることも重要な仕事になる。豊富な知識があれば、それが自分の個性にも繋がり、自信を持ったトークが展開できる。また、「しっかりとした知識を持っている」とリスナーに知ってもらえば、距離感が近くなり、熱心なファンに鳴ってくれる可能性もある。

ナレーター

ナレーターは、テレビやラジオ番組、CMなどで、進行を含めたナレーションを行う仕事を指す。番組内における司会進行の役割で、その場の状況を超えだけで解説することになる。

テレビ局に所属するアナウンサーや声優以外のタレントが担当することも多いが、最近は声優が務めるケースも増えてきている。ただし、アニメやゲームの演技とは違って、特定のキャラクターが割り振られるわけではない。ハキハキと、そして淡々と言葉を並べていくことになる。時には、映像出演している人の魅力が引き立つよう、声のトーンを抑える必要も出てくる。アニメとはまったく異なる技術が求められる仕事だ。

ドラマCD

ドラマCDとは、原作小説や漫画、アニメなどの世界観を元にした、オーディオドラマのことを指す。声優はアニメ作品と同じように、キャラクターの声を演じることになる。

アニメと異なるのは、映像による表現がないため、声優がキャラクターの感情はもちろん、周囲の状況まで声で表現しなければいけない点だ。効果音やBGMといった演出も存在するが、声質による表現がより高く求められる、
その一方で、キャラクターの口の動きや尺の都合を無視できるので、自由な発想で表現できるのはドラマCDの大きな魅力だ。

日本語吹き替え

海外で制作された映画の音声を日本語に翻訳し、そのセリフを録音する吹き替えの仕事は声優の大きな仕事のひとつ。映像配信サービスの普及によって海外ドラマが日本に上陸する機会が多くなり、それに伴い吹き替えを耳にする機会も格段に多くなった。

しかし、吹き替え版の声優はプロデューサーやディレクターの指名で決まるケースがほとんどで、オーディションはほとんどない。やりたいと思っても、なかなか仕事にたどり着けないのが実情だ。

アニメと吹き替えの大きな違いは、演じる対象が生きている人間になる点だ。アニメだったら許された過剰な演技も、吹き替えだと不自然になってしまう。オーバーな演技にならないよう抑えつつ、登場人物の個性を引き出すスキルが求められるのだ。

また、口の動きも日本語とはまったく異なるのも、吹き替えの難しさのひとつ。事前に翻訳スタッフが原音のセリフの長さや口の動きにぴったりと合うように訳文を調整するので、声優はその意図を汲み取ることが大切だ。

AnimeRecorder編集部

岸由真