愛美、約6年ぶりとなるワンマンライブでふたつのデビュー曲を披露。悩んでいた過去も受け入れ笑顔でリスタート

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愛美のワンマンライブ「愛美 ONEMAN LIVE “AI Mean It!!”」が2021年12月26日(日)にZepp DiverCityにて開催された。約6年ぶりとなるワンマンライブでは、ソロアーティストとして活動していくことへの決意を改めて歌で表明。本稿では、アニソン歌手になりたくて上京してきた彼女が、これまでの活動を受け入れ、アーティストとしてリスタートした記念すべきライブの夜公演の模様をレポートする。

チケットは昼夜ともにソールドアウト。2021年4月にアーティストとして再スタートした彼女の登場を今か今かと待つ会場に、開演のアナウンスが流れる。バンドメンバーがステージに登壇した後、少しの静寂とともに一瞬、空気が張り詰める。そんなライブ前独特の緊張感をバンドメンバーによる前奏が切り裂き、続けて、白いレスポールのギターを携えた愛美が姿を現す。歌唱したのは「ReSTARTING!!」。彼女が再スタートを切ってから行う初めてのライブで、これ以上相応しいオープニング曲はないだろう。

ロックな曲調にマッチした愛美の歌声は曲が進むごとに熱さを増していき、彼女自身も気持ちの高ぶりを抑えられない様子だった。一方で、ライブ1曲目からクラップを促すあたりは、これまで数々のコンテンツでステージに立ってきた経験値を感じさせる安定感。久しぶりのワンマンライブとは思えない圧巻のパフォーマンスに、観客のボルテージが確かに高まっていくことが、声を出せない状況であっても理解できた。

立て続けに披露したのは、「Link」。KING AMUSEMENT CREATIVEに移籍する前の2012年にリリースされた3rdシングルを、照明とペンライトによる赤い光に照らされながら熱唱する。全身全霊をかけて歌った彼女へ、会場からは大きな拍手が送られた。

その後に挟んだ最初のMCでは、アーティストとしてのイメージカラーが昼公演で「紫」に決定した経緯を説明。これまでのアーティスト・声優活動のなかでイメージカラーや衣装などで扱うことが多かった「赤」と「青」を混ぜて完成する「紫」。愛美自身は「闇っぽい色が自分らしい」と、このイメージカラーを気に入っている様子だった。

お気に入りのグッズ紹介や、約6年ぶりのライブになることにもMCで触れた後は、自身が作詞した「MAYDAY」「アナグラハイウェイ」をライブ初お披露目。昼公演のMCで「愛美、闇ポエムの真骨頂」と語っていたように、決してポジティブな心境を歌った曲ではない。そんな2曲には、人が抱える悩みや葛藤に寄り添いたいという彼女の率直な想いがのっている。愛美自身の悩みやこれまでも踏まえて届けられた心の叫びは、きっと会場へ駆け付けた人達の心にも響いただろう。

曲間のMCでは、リスタートしてから作詞を積極的に手掛けていこうと思った心境を吐露。「愛美が歌う理由を考えたとき、自分で言葉を紡ぎたいと思った」「ワンワードでもいいから誰かに届けられれば」「誰かがどこかで笑顔になってくれたり救われたりしてくれればいいな」と矢継ぎ早に言葉にする。その言葉が上辺だけの薄っぺらい言葉でないことは、彼女の作詞曲がすでに証明していた。

続いて披露したロックバラードの失恋ソング「ラブレター」も、彼女が作詞を手掛けた一曲。アコースティックギターに持ち替えて訴えかけるように歌う姿に、心を揺さぶられた人も少なくなかっただろう。

そんなエモーショナルな空気とは打って変わって、6曲目「いやよいやよもすきのうち」では「一緒に踊って欲しい!」と、会場に駆け付けた方々へリクエスト。本曲はYouTubeで配信していた自身の冠番組「愛美のPerfectWoman」内の企画で生まれたショートフィルム「かんぺきなおんな」の主題歌で、もともと「お客さんと一緒に踊れる曲にしたい」とオーダーしていたそう。事前にSNSで振付動画を公開し、直前のMCでも振付をレクチャーしたこともあり、会場の一体感は抜群。随所で愛美が促したクラップや甘い歌声も相まって、会場は多いに盛り上がった。その流れのまま、ダンスチューンの「Twinkle Starry Night」へ。ミラーボールによって散りばめられた照明の星々と共に、キレの良いダンスで魅せた。

その後のMCでは、前日に30歳の誕生日を迎えたことに触れながら、アニソン歌手になりたくて地元から上京していたことを振り返る。その流れから歌唱したのは、10年前のデビュー曲「天使のCLOVER」。曲の合間で会場に駆け付けたファンに手を振り、懸命に歌を届けようとする様子からは、ここまでの活動を支えてきてくれた人達や、今ここで歌えていることへの感謝など、万感の思いが伝わってきた。

過去も今も受け入れて前へ進むことを言葉と歌で露わにした愛美は続いて、新曲「LIGHTS」を歌唱。本曲は、テレビアニメ『現実主義勇者の王国再建記』第二部のEDテーマ曲であり、愛美が初めてアニメタイアップの作詞を手掛けた曲になるという。そんな思いもひとしおであろう楽曲を声量たっぷりに、2階席のいちばん奥まで届ける。本曲で彼女は、体や腕を上下に揺らして、感情を体でも表現。こういったパフォーマンスの巧さもアーティスト・愛美の魅力だろう。なお、本曲はデジタルシングルとして、2021年12月27日(月)0時より各音楽配信サービスにて配信がスタートした。

再デビュー前の曲や新曲も交えて進んできたライブ本編も残すところ3曲。「私はこの11年間、ギターのおかげでここまでこれた」「ギターのおかげでみなさんと出会えた」と言葉にした後は、相棒のレスポールスペシャルと共に、テレビアニメ『ベン・トー』のOPテーマ曲「LIVE for LIFE 〜狼たちの夜〜」と、シングル「カザニア」に収録されていた「瞬間SummerDay!」というライブ映えするナンバーを届ける。そして、感情のボルテージが振り切れそうなまま、本編ラストナンバー「カザニア」へ。実に清々しく歌っている彼女の表情からは、過去を受け入れてライブで歌えている喜びを抑えきれない気持ちが伝わってきた。

鳴りやまないアンコールの拍手に応えて登場した愛美は、DECO*27が手掛けた新曲「ドレス」を赤と青の照明に照らされながら熱唱。疾走感あふれる本曲を曲の勢いはそのままに、少し荒っぽい声も交えながらエモーショナルに歌い上げた。

ここまで駆け抜けてきたライブも、いよいよエンディングを迎える。お正月ならではのトークなどが楽しめる新春スペシャル番組がYouTube Liveにて2022年1月5日(水)に配信されることなどを告知したあとは、いよいよライブ最後の楽曲……へいくかと思いきや、ここで佐々木未来と伊藤彩沙がサプライズで登場。感動の対面……とはならず、YouTubeで活動している「声優三姉妹 チームY」のメンバーらしく、漫才のようなテンポのよい掛け合いで会場の笑いを誘った。この掛け合い中、愛美は関西弁が出たり表情が緩んだりと、終始安心しきった様子。ふたりに心を許していることが、ひしひしと伝わってきた。

「今日は絶対に美味しいものを食べてやろうと思います!」と明るく宣言した後は、改めて「ReSTARTING!!」を歌唱。ステージを左、右、中央と駆け巡り、笑顔を振りまきながら本ライブを締めくくった。

悩み・葛藤などネガティブな心の内を自身の作詞曲で表現する愛美。自分自身も「根底はネガティブな人間なんです」と言葉にする彼女だからこそ、きっと同じ悩みを抱える人の心に歌を届けることができる。悩みながらも前へ、前へと進んできた愛美のアーティスト活動は、2021年にリスタートした。ソロアーティストとしての夢の舞台・日本武道館を目指して彼女はこれからも歌い続けていく。「誰かの幸せになれば」という想いと共に。

本ライブの模様は、2022年1月15日(土)21:00~1月23日(日)23:59までPIA LIVE STREAMにて配信予定。チケットなどの詳細は、PIA LIVE STREAMの特設サイトをチェック。

「愛美 ONEMAN LIVE “AI Mean It!!”」セットリスト
2021年12月26日(日)@ Zepp DiverCity

M1. ReSTARTING!!
M2. Link
M3. MAYDAY
M4. アナグラハイウェイ
M5. ラブレター
M6. いやよいやよもすきのうち
M7. Twinkle Starry Night
M8. 天使のCLOVER
M9. LIGHTS
M10. LIVE for LIFE 〜狼たちの夜〜
M11. 瞬間SummerDay!
M12. カザニア

<ENCORE>
M13. ドレス (新曲)
M14. ReSTARTING!!

「愛美 ONEMAN LIVE “AI Mean It!!”」ライブ配信情報
ライブ配信:2022年1月15日(土)21:00~
アーカイブ配信:ライブ配信終了後〜2022年1月23日(日)23:59
■チケット料金
3,300円(税込)
■チケット販売期間
2021年12月26日(日)21:00〜1月23日(日)20:00
■購入URL
PIA LIVE STREAM
URL:https://w.pia.jp/t/aimi-aimeanit/
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