ネオショコが描くBLコミック『慈と善(ちかとぜん)』が、完全オリジナルのスピンオフボイスドラマとして、ブシロードムーブより発売される。
本作は、母親に虐げられてきた双子の兄弟・慈と善の関係を描くBL作品。電子アンソロジーレーベル「LatteComi-ラテコミ-」から生まれ、独自の世界観が人気を博している。
今回は、ボイスドラマに出演する七森慈役・林勇さん、七森善役・増田俊樹さんの2名にインタビューを実施。作品やキャラクターの魅力、そして「双子」に対する印象など、さまざまな質問をぶつけてきた。
お互いが持っていないものを引き出す双子ならではの収録…林勇さん&増田俊樹さんインタビュー
――今回慈と善を演じてみての感想をお願いできますか。
林さん:僕は慈役、つまりお兄ちゃんの方を演じさせていただきました。最初、双子と聞いたので、声のトーンをまっすん(増田さん)と合わせるべきなのかなと考えたんです。ただ、まっすんの声をパッと聞いた時に、やっぱり近づけるのもちょっと違うなと思ったんですね。
兄貴としての包容力とか、面倒見がいいとことろか、あとは善とくらべて友達と馴染めるところとか、むしろ違いを出していこうと心がけました。
増田さん:善は全体的に何にでも対して大体甘えきっているというか…慈は作品の全体の根幹になっていて、2人だけの世界を表現するために、2人だけじゃない世界を迎合しているんです。
逆に善に関しては全部無視しているというか、「知らんがな」と(笑)。自分だけの世界を持っていて、それをシンプルに表現することをひたすら意識していました。あとは単純に、関西弁は大変でした。
――演じられたキャラクターに対する第一印象はいかがでしたか。
林さん:慈はバランス取れている印象がありました。弟が持っていない部分を補うバランス感覚ですね。
僕も双子の姉がいるんですけど、性格が真逆なんですよね。僕に限らず双子って、意外と性格が違うものなんです。それを知っているからこそ、弟をフォローする善には共感できるというか、自然と溶け込めた部分は多かったですね。
増田さん:「関西弁が大変」と言いましたけど、そこに標準語も織り交ぜて演技するのは特に大変だったのが印象に残っています。友達との会話とかも絶妙な距離感で、仲のいい空気を出せないのも個性だなと思います。
林さん:そうなんだよね。ちょっと気を使ってる感あるよね。
増田さん:子供ながらちょっと遠慮している雰囲気は面白くもありましたね。演技でいうと、お互いが芝居の中で出してくる方向性を汲み取るのはもちろん、相手にないものを逆に自分が出して、逆のものを相手に引き出させていく作業というのは双子ならではかなと思います。
――収録にあたってお気に入りのシーンはありましたか?
林さん:慈がかなり怒って、捲し立てるように喋るシーンがあるんです。怒りを言葉にするこのシーンは何回も撮り直しをしたところで、苦労したからこそイメージに残ってますね。聞き応えありますよ。
増田さん:僕もまったく同じシーンを言おうとしました。
林さん:そうだよね。怒れば怒るほど、関西弁が濃くなってくるのが分かると思うんですよ。言葉本来のニュアンスを残しつつ、勢いをつけた演技にしなければいけないので、結構痺れた収録でした。
増田さん:難しいことをやってましたよね。怒ってはいるけど、慈らしくマイルドにしなきゃいけない部分もあって。
林さん:ちょっとした慈しみも感じるよね。
――この作品は「双子」がキーワードになっていますが、双子に関してはどんな印象をお持ちですか?
増田さん:僕は高校時代、同学年に双子がいて、見分けがつかなかったんです。2人とも女の子で、2人とも彼氏がいて、そして彼氏はどちらも同じグループなんですよ。だから、「これ入れ替わってたら分かるのかな」と、ずっと疑問でしたね(笑)。それと同時に、なにかひとつ間違えたら修羅場だなとも思っていました。
林さん:俺の姉は性別も違うし、一卵性だからすぐに見分けがつくんです。だけどシンクロするところも多くて、例えばまったく別の場所に買い物行っても、同じものを買って帰ってきたり。
増田さん:え!? これ他人の家族に言っちゃいけないと思うんですけど…気持ち悪いっすね(笑)。
林さん:(笑)。でも、本当に気持ち悪いって思うくらいのシンクロ。確か中学か高校くらいのときで、スマートフォンで気軽に連絡取れる時代でもないんですよ。だからあのときは本当にびっくりしましたね。
――本作では「おまじない」もキーワードになっていると思います。お二人は大事の前に、おまじないをすることはありますか?
林さん:以前はやることもありましたね。ライブ前とか極度に緊張してしまうので、鏡の前に立って「俺はできる、俺はできる」と暗示をかけていましたね。それで自我を保つというか、冷静さを取り戻すことはやってました。
あと、おまじないとはちょっと違うけど、歌唱前は必ず声出ししますね。それによって自分の声の調子が分かるので、声が出にくいと分かったときには力の入れ方を変えたり、対処法も見つかりますから。
増田さん:パッと思い浮かぶのだと、指輪をつける位置とかは気にしますね。あとは何を着ていくか、何を履いていくか、どんな着こなし方をするかも…。
林さん:めっちゃ細かく気にするじゃん(笑)。
増田さん:いや、もちろん無意識もいっぱいありますけど、幸運を司る要素は気にしますよね。家にはパワーストーンがいっぱいありますし、神社にもよく行きます。おまじない、願掛けだらけですよ。
林さん:すごいな、俺とは真逆じゃん。
増田さん:がんじがらめな人間ですよ。占いも信じるほうなので、本当は引っ越ししたいけど、占い師に「来年引っ越すといい」と言われたのでめっちゃ我慢してます(笑)。そうはいっても、実は占い師さんのこと、半分疑ってるんですけどね。やっぱり人間だし、彼らもビジネスなので。
――ボイスドラマには渡辺や片山、小堀といった仲良しグループが登場しますが、彼らに対する印象はいかがでしたか?
林さん:いわゆるリア充ですよね。
増田さん:僕、苦手です。
林さん:苦手そうだよね(笑)
増田さん:例えばクラスで遊びに行こうとなったとき、誘わなきゃいけない対象に僕はいるはずなのに、誘わないんですよ。だったらもう、僕の知らないところで遊んでくれってなるわけですよ。
林さん:やっぱりそういう人もいるんだなぁ。僕はもともと、高校時代はずっとギャル男だったからね。
増田さん:そうだったんですか!?
林さん:そう。でも、ギャル男のときは誰にでも声かけたよ。
増田さん:怖い、逆に…。絶対、廊下ですれ違うとき目線外しますよ。
林さん:日サロにもよく行ってたし、夏はマンションの屋上で焼いてたよ。
増田さん:僕は家から出ないで、日に当たらずにゲームばかりやってました。本当に何から何まで真逆だ…。
――(笑)。最後に、期待しているファンの方へのメッセージを一言お願いします。
増田さん:今回は原作から派生した、さらに風呂敷を広げた作品ということで、ファンの方の「いろいろなものを見たいな」と思う気持ちで実現したボイスドラマだと思います。
期待したファンの方たちの気持ちに応えられる作品になっているので、気になる方はぜひとも聞いていただければ嬉しいなと思います。
林さん:双子が主軸のBLという、今までにない設定の中で演じさせていただきました。まっすんとは、なんやかんや長い付き合いで、話すのが楽しい仲でもあるんです。その空気感みたいなのが、双子を演じる上で活かされていたら嬉しいですね。
作品が持つ独特の世界観、人間愛なのか家族愛なのか、人それぞれ解釈の仕方はあると思いますが、素敵な作品であることは間違いありません。原作を含めて、ぜひ楽しんでください。