BLボイスドラマ『慈と善』で”陽キャ3人組”を演じる森嶋秀太さん、伊藤昌弘さん、千春さんにインタビュー!

インタビュー

ネオショコが描く『慈と善』のボイスドラマが、完全オリジナルのスピンオフドラマとして、ブシロードムーブより配信される。
本作は、母親に虐げられてきた双子の兄弟・慈と善の関係を描くBL作品。電子アンソロジーレーベル「LatteComi-ラテコミ-」から生まれ、独自の世界観が人気を博している。

今回は、ボイスドラマのストーリーを盛り上げる仲良し3人組の渡辺役・森嶋秀太さん、小堀役・伊藤昌弘さん、片山役・千春さんにインタビューを実施。作品やキャラクターの魅力、そして「双子」に対する印象など、さまざまな質問をぶつけてきた。

慈と善の関西弁にも注目…森嶋秀太さんインタビュー

――『慈と善』のボイスドラマに出演してみての感想はいかがでしたか。

スタッフさんからのディレクションで、慈くんと善くんの世界に明るい要素をもたらすキャラクターたちと言われていたので、明るい性格は意識しました。どこにでもいる学校の同級生という感じで、日常を彩る一人になりきるイメージですね。

――森嶋さんから見て、慈と善というメインキャラクター2人に関してはどんな印象を持ちましたか?

2人に関しては、やっぱり大変な生い立ちが印象に残りますね。原作の冒頭で、母親による虐待のような描写があり、それがきっかけでナイーブになってしまったんだなと。かわいそう、という感想ももちろんあるのですが、同時に2人の絆の深さも感じます。

――お気に入りのシーン、おすすめのシーンはありますか?

お気に入りの”シーン”ではないのですが、慈役の林君も善役の増田さんも、大阪の人ではないですけど、この作品では関西弁を話すんです。2人の関西方面の方言混じりのお芝居を聞けるのは貴重な機会でした。林君に至っては、本格的な関西弁の演技は初めてとのことなので、ファンの方も楽しめるんじゃないかと思います。

慈くんと善くんは、僕が演じる渡辺や片山、小堀と喋っているときは標準語で喋るんですけど、2人で喋るときだけは関西弁と混じりになるんです。その瞬間は、パーソナルな部分が覗けるというか、ちょっとレアな瞬間が見れた気がして、おすすめです。

――スタッフからのディレクションでは、なにか印象に残ることはありましたか?

正確には僕が言われたことではないのですが、やっぱり関西弁に関するディレクションはとても勉強になりました。
関西弁って、普段テレビやラジオで聞く関西弁と、地域独特の訛って微妙に違うんです。そういった違いも細かくディレクションされていて、「関西弁ってこんな風になるんだ」という驚きがたくさんありました。

この作品は全員が関西弁ではなく、僕たちは賑やかしのメンバーは標準語で話すのですが、耳を傾ける価値はありました。

――新しい発見や、勉強になったこともたくさんあったと。

お芝居の中での関西弁となると、ネイティブじゃない人が演じるのは結構ハードルが高いと思うんです。
それでも方言指導に合わせてすぐに適応する林君と増田さんに対しては、「さすがだな」という気持ちしかないです。それと同時にこの作品に真摯に向き合っている姿は尊敬できます。

――慈くんと善くんは双子の関係ですが、森嶋さんご自身の身の回りで双子に関するエピソードはなにかありますか?

僕の高校時代の友人が双子でして、一人は同じ高校で、もう一人が別の高校に通っていたんです。僕の高校はブレザー、もう一人は学ランなんですよ。
ある日偶然、電車の中で学ラン姿の彼を見て、「お疲れ」と普通に声をかけたら驚かれちゃって。その直後に僕も「よくよく考えたら学ラン着てるのおかしくね?」と、一瞬混乱してしまったのは覚えています(笑)。

――それはちょっと気まずいですね(笑)

そうですね(笑)。でも、顔も声もそっくりなので、別人のはずなのに話しやすさ、接しやすさを感じたのは、さすが双子、とも思いました。

――ちなみに、ご自身に双子の兄弟がいたら楽しかっただろうな、逆に大変そうだなと想像することってありますか?

「大変そう」が一番に来ますね。双子でいろいろ比較もされるでしょうし。おそらく、現実の双子も比較される苦労は感じていると思うんです。

――それでは最後に、本作に期待しているファンの方へのメッセージをお願いします。

慈くんと善くんの絆を中心にしたストーリーの面でも、キャストの方々の演技という面でも、たくさんの楽しみが詰まっている作品だと思います。ぜひ聞いていただけると嬉しいです。

BL作品に初出演…収録で生まれた疑問とは? 伊藤昌弘さんインタビュー

――本作に出演してみての感想からお願いします。

陽キャグループの中の1人なので、とにかく楽しく演じるよう心がけました。確かにこういう陽キャ、クラスに1人はいたよね、と感じてもらえたら嬉しいです。
『慈と善』は、ともすると重苦しくなりがちなテーマじゃないですか。そんな作品だからこそ、明るいサブキャラクターは重要なのかなと思うんです。

――伊藤さんが演じられた小堀の人物像はどのように捉えていますか?

小堀は本当に明るくて、つるんでいる仲間と一緒のことをするのがすごい好きなのかな、というのが第一印象でした。10代特有の仲間意識がすごく強いので、そこは僕の演技を通して表現したいと思ったところです。
ただ、自分自身は小堀みたいな陽キャではないので、イメージを膨らませる必要がありました。彼は友達と一緒にいるときに、もちろん気を使いはするけど、無理はしてないと思うんです。そこは僕との違いですね。

――本作のメインキャラクター、慈と善に対してはどんな印象ですか?

小堀としては慈くんとつるむことが多く、そこに善くんがいつも来る、というイメージですね。
2人の絆は見ていて羨ましい気持ちもあります。2人で一緒に同じ道を帰る姿とか、無愛想だけどお互いのことを双子として、家族として大事にしてるんだろうな、と感じることができます。

――作品全体のストーリー、世界観の第一印象はいかがでしたか。

作品を読む前は、「双子でBL…どんな始まり方をするんだろう」というのが興味としてありました。
実際に読んでみると親や家庭が原因で、「守らなきゃいけない」という思いがすぐに伝わってきて、物語に入りやすかった印象です。

人間って、誰でもちょっと歪んだ部分があったり、劣等感を抱いて生きている部分があると思うんです。慈くんと善くんはそういった人間の弱い部分と向き合う姿は共感できるし、素敵だと思います。なにより、双子でこれだけ仲良いのって、すごいですよね(笑)。

――確かに、双子だからといって、必ずしも仲が良いとは限らないですからね。

一緒に居すぎると、言葉交わさなくても分かることが増えると思うんですよ。それでもこの2人はしっかりとコミュニケーションを取っていて、感心することも多かったです。

――お気に入りのシーン、おすすめのシーンはありますか?

今の話にもつながってきますが、お互いの親のトラウマに対する向き合い方が違って、「救われてたのは僕だけだったんだ」というところから始まり、慈くんが「自信持って生きていいんだ」と気持ちが変化していく流れは素敵だなと感じました。

あとは、高速バスのシーンも好きです。慈くんがバスを降りたら、唇がバッサバサになっていたシーン(笑)。バスの中大丈夫だったのかなと心配にもなりました。

――収録の際にスタッフの方からディレクションはあったのでしょうか?

僕は陽キャ3人組の中でも最後の収録で、ほかのキャラクターのボイスを聞くこともできたんです。それも踏まえて、3人のバランスを取れるように意識しようと話し合いました。
3人組の中でも渡辺くんが結構明るく、テンションも高いので、僕が演じる小堀は陽キャだけど一歩引いたりとか、ただ盛り上げ役ではない存在を目指しました。

バランスといえば、身長差も意識したところです。渡辺くんはまだ小柄で、これから背が伸びていきそうな印象でした。なので、僕は渡辺くんに比べると背が高めな男性のイメージを持って演じています。

――この作品って「双子」がかなり大きなキーワードになっていると思います。伊藤さんは双子に関するエピソードはなにかありますか?

小学校のころ学習塾に通っていて、2、3歳下の子が双子でした。どちらもサッカー少年で、全然見分けがつかなかったのを覚えています。
学習塾以外で会う機会はなかったけど、子供のころは双子という存在自体が新鮮で、今でも記憶に残っていますね。

――もしもご自身に双子の兄弟がいたら、どんな存在になっていたと思いますか?

親が面倒見きれなかったと思います(笑)。ちょっと天邪鬼な性格で、怒られると逆に悪いことをしたくなっちゃう子供だったんです。そんな子供が2人もいるなんて、考えるだけで恐ろしい…。
でも、僕は同性の兄弟がいなくて、同年代の親戚も女の子ばかりだったので、歳が近い男の兄や弟がいたらなと、憧れることもあります。

――それでは、本作のファンに向けて、一言お願いします。

個人的な話になりますが、BL作品に出演させていただくのは今回が初めてで、緊張感のある収録でした。
それこそ読むのも初めてでしたけど、とても読みやすいし、物語も「こうやって進んでいくのか」と勉強になる場面が多かったです。

ただ…ひとつ疑問もあって、こんなにキスするものなんですか?(笑)。どんどんブレーキが壊れていく感覚がとても新鮮でした。この感覚は『慈と善』ならではなのか、他の作品でも同じなのか…BL作品のファンの方に、こっそり教えてもらいたいです(笑)。

おすすめのシーンは双子の嫉妬…千春さんインタビュー

――本作に出演してみての感想はいかがですか?

片山はこの作品で唯一の女の子なので、同性にも好かれる女の子を意識しながら演じました。
あとは作品の中だと日常の世界を盛り上げる3人の中の1人なので、明るく演じられるように心がけながら楽しく演じさせていただきました。

――作品のストーリーや世界観に対する第一印象はいかがでしたか。

双子で、さらに両方思いというのがコンセプトとしてあって、結構近い距離ながらも、距離が近いながらももどかしさを感じるのが第一印象でした。
お互い自覚していない部分とか、言葉は古いかもしれないんですけど、萌えポイントなのかなと思います。

――ご自身が演じた片山に対する印象は?

片山ちゃんはすごい明るい子ですよね。自分自身がかなり教室の隅っこで、休み時間もちょっと寝ちゃうような人間だったので、ちゃんと男の友達とワイワイみたいなのが結構新鮮でした。
でも自分も片山ちゃんを通して青春をするという感覚で、自分も友達になりたいと思えるような子を意識して演じました。

――学生生活を思い出す瞬間もあった?

そうですね、こんな青春もあっただろうな、みたいな感じです(笑)。片山ちゃんたちの人間関係に憧れるというか…みんなで遊びに行こう行こうとか、一緒にカフェ行こうとか、気軽に言い合える関係性はすごくいいなって思います。

――メインキャラクターである慈と善、この二人に対する印象はいかがですか。

片山ちゃん的には結構かっこいい双子、憧れの存在だったと思います。でも、実際に関わってみるとすごい一緒に楽しんでくれたり、憧れなんだけど近い存在でもありますね。
2人が楽しく、仲良くしている部分をもっと見ていたいという思いは、私自身はもちろん、片山ちゃん的にもあるんじゃないかと思います。

――実際に収録してみて、好きなシーン、おすすめのシーンはありましたか?

片山ちゃんがチックタックというSNSで、美形男子同士がキスする動画で盛り上がるシーンがあるんです。これは原作にもあったシーンですけど、ボイスドラマではその続きが聞けるんです。
片山ちゃんの言葉を受けて、その後慈くんと善くんも…というシーンは、ファンの方にとっても熱い展開だと思います。

――印象的なセリフは何かありましたか?

善くんが女の子にキャーキャー言われた後に、慈くんが嫉妬するシーンですね。「自分がなんでこんな気持ちになるんだ」と、自覚し始める瞬間がすごく印象です。私も聞いた瞬間に「それそれ!」と、心のなかで叫んじゃいました(笑)。

――(笑)。そこは自分が望んだ通りの展開だったんですね。

そうですね。双子としての仲の良さを見てきた中で、そうやって嫉妬する姿も出てくるというのは、レアですよね。意外性を出してこられると、こちらとしても熱くなります。

――スタッフの方からのディレクションとかは何かあったんでしょうか。

最初に「3人組は明るく、陽キャで」というのは言われました。なので、3人が揃った場面では特に明るくなるように意識しました。あと、お芝居のテンポ感も「結構アゲ目で」とディレクションいただいたので、ほかのキャスト陣のセリフや、スピード感を確認しながら演技しました。

――本作は「双子」がひとつキーワードになっていますが、千春さんは双子に関するエピソードはありますか?

中学生のときに双子の同級生がいて、誕生日が一緒だったのが印象的でした。私も含めて3人も同じ誕生日の子がいるのはやっぱり珍しいし、ちょっとした自慢でもありました(笑)。
その双子は女の子で、2人共眼鏡をかけた知的な美女、まさに二次元のキャラクターみたいな雰囲気だったんです。そんな子と同じ誕生日というのは、なんだかとても嬉しかったですね。

――ご自身に双子の姉妹がいたらいいなと思う瞬間ってありますか?

喧嘩をいっぱいしちゃうと思います(笑)。私は3人兄妹の末っ子で、かなり甘やかされて生きてきたんです。そのせいでわがままな性格だったので、それが2人もいたら家族が苦労したと思います。

――最後に作品のファンに対してのメッセージとか一言いただければと思います。

お話の続きを楽しめることが注目のポイントだと思います。ボイス付きで、今を生きている2人を楽しんで頂きたいです。