『魔法使い黎明期』梅田修一朗さん、岡咲美保さんにインタビュー 演じる上でこだわり抜いた感情と温度感

TVアニメ

2022年4月より放送がスタートするTVアニメ『魔法使い黎明期』。かつてアニメ化もされた『ゼロから始める魔法の書』と世界観を共有する本作品の舞台となるのは、500年間対立していた教会と魔女の和平が成立してから数年しか経っていない黎明期。魔法学校に通うも成績はいつも学年最下位、さらに入学以前の記憶を失っている主人公・セービルが、心に傷を隠した仲間たちと共に数々の試練や陰謀に立ち向かい自分を見つけていく。

今回は、セービル(セブ)を演じる梅田修一朗さん、そして何百年という時を生き《黎明》の異名を持つ魔女、ロー・クリスタス(ロス)を演じる岡咲美保さんにインタビューを実施。作品や自身が演じるキャラクターの魅力について伺った。

一緒に冒険する感覚で楽しんでもらいたい

――本日はよろしくお願いします。まず、『魔法使い黎明期』への出演が決まったときのことを振り返ってもらえますか。

梅田さん:テープオーディションのときからセービルはとても難しいキャラクターだと思っていたので、合格と聞いたときは責任を感じました。セービルというキャラクターを任されたわけですから、「任せて正解だった」と思ってもらえるよう頑張らなければいけない。そんな責任感ですね。

岡咲さん:ロスはオーディションのときから印象に残っていたキャラクターなので、決まったときは本当に嬉しかったです。ただ、ロスは演じていて難しいと感じるところもあるキャラクターでもあり、オーディションの手応えはあまりなかったんです。それだけに、嬉しさのあとには「頑張らなければいけない」と、身の引き締まる思いが湧き上がりました。

――お二人ともキャラクターに対して難しさを感じていたんですね。

梅田さん:セブは設定上、記憶を失っていて、感情も上手く表に出せないんです。記憶も感情も全面に出せない少年を、どうやったら的確に表現できるのかはとても悩んだところです。

岡咲さん:声の居場所は比較的早い段階で見つけられたキャラクターではあったのですが、内面とのギャップの築き方に苦労しましたね。かわいい声色のまま威厳を出したり、戦闘のシーンでは余裕を見せたり。あと、底知れぬ怖さが垣間見える瞬間もあるんです。普段は喚く場面が多いですが、セブ君に対して静かに教えを説くこともあり、さまざまなシーンでギャップを意識する必要があったんです。

梅田修一朗さんが演じるセービル

――演じるにあたって、原作からもインスピレーションを受けたかと思います。こちらの印象はいかがでしたか。

梅田さん:僕は最初にコミックスを読ませていただきました。キャラクターはみんな強烈な個性を放っていて、それぞれがどんな会話を見せてくれるのかが気になりましたね。ストーリーが面白いのはもちろんですが、目に飛び込んでくるキャラクターだけでもキャッチーで、すぐに惹き込まれたのを覚えています。

岡咲さん:私もコミックから入りました。ストーリーは分かりやすさを感じながら、ときにはシリアスな方面にも舵を切るので、考えさせられる瞬間が多かったです。一見笑顔のキャラクターにも、実は影があったり。皮肉っぽいキャラクターにも熱い一面があったり。細かい感情の描写がすごく丁寧なんです。しかも時間をかけてじっくりと描かれているので、全員に自然と愛着がわきました。

――収録では、実際にお互いの演技も見て、聞いていますよね。どんな印象を持ちましたか?

梅田さん:まずは「ロス先生がいる!」と真っ先に思いました(笑)。感動するレベルでイメージ通りでしたし、原作だけでは感じられない、生きている部分を教えてもらった気がします。

岡咲さん:セブ君は感情を表す方法を知らないキャラクターですけど、梅田くんにはもちろん感情があるわけじゃないですか。でも、セブ君のモードに入ると、たどたどしい喋り方、感情を表現できないもどかしさ、どうしたらいいか分からず謝っちゃう感じ、すべてを自然に演じているんです。セブ君の靄がかかっているような人間性、温度感も的確に表現していて、梅田くんの演技がぴったりだなと思います。

――では、自分自身の演技で、注目してもらいたいポイントを挙げるとしたら?

梅田さん:岡咲さんも話していた温度感というのは、僕自身もこだわったポイントです。同じセリフであっても、場面によって実は違ったことを考えながら話していることがよくあるんです。そのときセブがどんなことを思っているのかを汲み取りながら演技したので、アニメの表情込みで見てもらえたら嬉しいです。

岡咲さん:アフレコでは頭で考えながら演じるというより、可能な限りキャラクターを自分
に憑依させて声を出せるように意識しているんです。そのうえで、ロス先生は普段、冒険を楽しむことを常に考えていると思うんです。だから私も、まずは楽しんで冒険することを強く意識して収録に臨みました。数百年生きてきたロスにとって、この冒険は2度目か、ひょっとしたら3度目の青春と言えると思います。それだけに喜びも色濃いものになるでしょうし、メリハリをはっきりつけた演技を心がけました。

――ちなみに、収録の際はスタッフからなにかディレクションを受けたのでしょうか。

梅田さん:セブの場合は、冒険を通して感情を出せる瞬間も増えてきます。感情表現の強弱はタイミングごとで異なるので、スタッフの方の意見を聞きながらの収録になりました。「今のセービルはもっと弱め」とか、エピソードごとで細かな指示がありました。

岡咲さん:ディレクションで印象的だったのは叫ぶシーンですね。なにも考えずに叫ぶだけでは、ただのうるさい女の子になってしまうので(笑)。そうならないよう、どんな感情を抱えて何を訴えるためにロスは喚いているのか、コミカルなシーンでも、細かく音響監督さんと確認させていただけるありがたい収録でした。

岡咲美保さんが演じるロー・クリスタス

――本作のようなファンタジー作品だと、固有名詞の発音など、覚えることも多いかと思います。

梅田さん:確かにそうですね。だから僕の場合、ファンタジー作品に出演するときは「この世界の常識ってなんだろう」というところから考えるんです。例えば戦国時代が舞台の作品だと、人を斬ることに違和感を覚えないでしょうし、侍の言葉使いだって不思議には思わないじゃないですか。
『魔法使い黎明期』でも、まずはこの世界の常識をしっかりと想像して、把握することを考えました。それが違和感のない話しかたにもつながると思うんです。

岡咲さん:私はそもそも、ファンタジー世界の言葉に違和感を覚えることが少なくて…。というのも、小さいころは夢が魔法使いでしたし、今でもいつか不思議な力で空を飛べるかもしれないと想像するんです(笑)。声優を目指した理由のひとつも「アニメの中なら空を飛べるし魔法も使える!」というところでした。

ただ、ロスはセブ君に物事を教える立場ということもあって、マイク前で言葉の難しさを感じることは多かったです。私からすると独自の単語だけど、ロスからすると長い間慣れ親しんだ単語でもあるわけで。スラスラと、ナチュラルに言わなければとお家で何回も唱えていました!(笑)

――本作は、『ゼロから始める魔法の書』と世界観を共有しています。こちらも以前アニメ化されましたが、なにか印象に残っていることはありますか?

梅田さん:『魔法使い黎明期』から見たゼロは物語の核心であり、ラスボスのような存在感ですけど、『ゼロから始める魔法の書』から見ると、知らないことを知ることを楽しんでいて、まったく違う印象を受けますよね。

『魔法使い黎明期』のセブが受動的に知識を増やしていくのに対して、『ゼロから始める魔法の書』のゼロは自分から率先して知識を増やそうとする。両作品の主人公の性格も正反対で、対比になっているのも面白いですね。

――1人の視聴者、1人のファンとして、『魔法使い黎明期』のアニメにはどんな期待を持っていますか。

梅田さん:セブが多くのキャラクターと触れ合っていく中で、どんな成長を見せてくれるのか期待したいですね。もちろんセブ自身がどんな話をするのかは知っていますが、映像や音が入ると違った印象になると思うんです。

岡咲さん:先に公開されたPVを見た時に、ロスの目の奥深さやキラキラした色彩感に胸が高鳴りました。すべて完成した映像を見るのは皆さんと同じ、TV放送のタイミングなので、コミカルなシーンからバトルシーンまで全て楽しみです。また、今は全員で揃ってアフレコができないので、キャストの皆様の演技が聴けることもあり、120%の期待を持って放送を待っています。

――まずは第1話の仕上がりに注目ですね。

梅田さん:本当にきれいな作画と、素敵な劇伴の中に、僕たちの精一杯の演技が乗ることで、温かく、ワクワクする作品になっていると思います。ぜひ一緒に冒険する感覚で楽しんでもらいたいです。

岡咲さん:私たちだけでなく、すべてのキャスト、スタッフの方々が気持ちを込めて作っています。本当に自信を持っておすすめできる作品で、第1話を見たら2話、3話とのめり込めると思いますので…まずは初回を忘れずに見ていただきたいです!

――ありがとうございました。

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