2020年10月から放送がスタートしたTVアニメ『アサルトリリィBOUQUET』。本作は、1/12アクションドールシリーズ「アサルトリリィ」を原作としており、舞台化や小説化など多彩な展開を見せているメディアミックスプロジェクトだ。
今回AnimeRecorderでは、TVアニメを手掛けるメインスタッフへのインタビューを実施。第3回目は本作のキャラクターデザインを担当した細居美恵子氏にメールインタビューを行った。
線を減らしても「らしさ」を損なわず、ギリギリを探ったデザイン
――「アサルトリリィBOUQUET」でキャラクターデザインを担当することになった経緯を教えてください。
元々をたどればかなり前までさかのぼりまして…7年前に「あいうら」というアニメのキャラを担当しておりまして、原作者の尾花沢さんがその「あいうら」アニメを好きだったということから、なにかでご一緒できないかとお声がけいただいたことが最初だったと思います。
私もドールが好きで、AZONEさんのドールはいくつか持っており、自分の絵がドールになるかもしれないなあなんて想像して、ワクワクしました。
「アサルトリリィ」では八重樫さんのデザインがすでにありましたので、そちらに合わせる形でノベル化の本文のイラストを担当したのが5年前、尾花沢さんからアニメのキャラクターデザインのご相談を受けたのがたしか、4年前くらいだったと思います。
――「アサルトリリィ」というコンテンツに対してはどのような印象をお持ちでしたか?
最初ドール周りの企画でお話を伺っていた頃は、尾花沢さんの熱量のすごさに圧倒されていました。やりたいことがとまらないという感じで。
まずドールがあり、そこから小説、舞台、アニメ、ゲームと世界が広がっていくのを側から見ていて、すごいなあと思うと同時に、その作品の成長を側から見ることができたことを嬉しく思ってます。
――実際にプロジェクトに参加してみて、印象に変化はありましたか?
私はアニメ以前から知っていたこともあり、その点では作品が成長するのを見ていたような気持ちはあります。親戚が子供の成長を陰ながら見ているような…?
――監督とはじめとしたスタッフとデザインについて話すことはありましたか?
監督の書かれたプロットやシナリオがありましたので、まずはそちらをもとにキャラはどうしようかとイメージし、デザインに入る前の打ち合わせ時に、佐伯監督が考えていらっしゃるアサルトリリィの世界観や、制服のデザインはある程度統一するということ、頭身のイメージなど具体的な部分のイメージをうかがいました。
――「アサルトリリィ」の原作はアクションドールですが、コミックやライトノベルが原作の場合と、キャラクターの生み出し方に違いはありましたか?
ノベルでのイラスト(キャラクターデザイン)は、文章で描かれた一次元の世界を、二次元の絵の中に落とし込み読者に伝えるものだと考えています。
アニメのキャラクターデザインは、今回のように原案がある場合は原案をもとに、アニメーターさんたちの間でデザインを共有するための設計図、という風に考えて作っています。
――世界観や作品のコンセプトはキャラクターデザインにどのような影響を与えていますか?
リリィたちの存在している世界はかなりハードなので、キャラクターはより純粋に優しくまるく、デザインから温かみや体温を感じてもらえるといいなあと思いつつまとめました。
――「アサルトリリィBOUQUET」はバトルアクションのシーンも多い作品です。キャラクターデザインの段階で、動かしやすさを意識することはありましたか?
なるべく線を減らす、というところでしょうか。線を減らしても「らしさ」を損なわず、作業するアニメーターさんたちのこともイメージしつつ、ギリギリを探りつつ線を決めました。
――百合ヶ丘女学院の制服など、服装におけるこだわりはありますか?
制服のデザインは八重樫さんの原案からイメージを大きく変えてはいません。細かな点では、佐伯監督との間でスカートの長さをどうするかというやりとりはありました。お嬢様たちなので本来スカートは長くするべきところなのですが、シルエットのきれいさや足を見せたい(笑)などから、かなり短くしています。ソックスや靴の違いにキャラの個性があるので、スカートが短いとそこが見せられる点もいいなと思ってます。
――色彩関係でのこだわり、アニメスタッフにオーダーしたことはありますか?
色彩に関しては、アニメスタッフとしては私は素人だと思っているので、あくまでイメージとしてラフに色は塗っていましたが、大きくは現場の方々のご判断にお任せというスタンスでした。
――本作には多彩なキャラクターが登場しますが、個性付で意識したことはありますか?
キャラクターの「らしさ」がデザインからもひとめでわかるように…とおもいつつまとめています。わかりやすいところで言えば目のシルエットとかでしょうか。
――キャラクターを描く際、各々が持つチャームデザインとの相性は意識しましたか?
チャームはアサルトリリィの世界のハードな部分を担当していると考え、基本キャラは人間味やかわいさに重点を置き、チャームの存在感とはむしろ大きなギャップを感じさせられれば、と考えていました。
――完成した映像を見ての感想は?
素直なところでは親戚として子供が成長して嬉しい、というような気持ちです(笑)
キャラデザイナーとしては、スタッフの方々にすみませんありがとう、という気持ちや本当にお疲れ様です…!という気持ちと葛藤しつつ、でもやっぱり素直に嬉しい、という気持ちですね。
――アニメを視聴するファンに、キャラクターデザインの観点で注目してもらいたいポイントがあれば教えてください。
ころんとしたかわいらしさを感じてもらえると嬉しいです。
あとは太ももを…!