朗読劇『世界から猫が消えたなら』が本日開幕。初演には梶裕貴、駒田航、山下七海ら出演

舞台

2013年に本屋大賞にノミネートされ、世界累計発行部数200万部を突破した川村元気原作の感涙ベストセラー小説「世界から猫が消えたなら」の朗読劇が、シアター1010にて6月18日(土)に開幕した。

今回は初演となる18日14時のステージの模様をレポートする。
主人公の”僕”を演じるのは『進撃の巨人』エレン・イェーガー役、『七つの大罪』メリオダス役などで主役を務める人気声優、梶裕貴。
聞く人に優しく寄り添うその声は物語の世界に連れていき、観客は”僕”の不思議な一週間を共に辿っていくことになる。
余命わずかと宣告された30歳の郵便配達員の”僕”の前に、突然“悪魔”が現われる。
“悪魔”は大切なものを消す代わりに1日の命をくれるという。
電話や映画、時計など大切なものが次々と無くなっていく中、“僕”は元恋人の“彼女“と再会を果たし、かつての感情や別れの時を思い出していく。
”親友“ツタヤとの最後の会話。そして、悪魔によってもたらされた飼い猫”キャベツ“とのまさかの会話。思い出されるいくつもの思い出、そして後悔。
疎遠になってしまった父との思い出に触れ、亡き母が残した手紙を手にした”僕”は、人生最後の日を迎え、決断を下すことになる。
アロハシャツを纏った陽気な“悪魔”を演じるのは『ヒプノシスマイク』シリーズに出演している駒田航。物語を転がしていく“悪魔”は耳触りの良い低音の駒田の声にピッタリだ。

“彼女”を演じるのは『Wake Up, Girls!』で久海菜々美役を演じた山下七海。
その可愛らしい声に”僕”が心を奪われたのも納得。山下は後半で“母”も演じるのだが、その語りかけるような手紙のシーンには涙がとまらなかった。
“親友”を演じるのは『アイドルマスター Side M』で山下次郎を演じた中島ヨシキ。
“僕”の唯一無二の親友“ツタヤ”だが、”僕”との息の合った掛け合い。そして涙ながらに”僕”に「生きていて欲しい」と懇願するシーンでは中島の素晴らしい演技力に感服した。
“猫”を演じるのは『あんさんぶるスターズ!』に出演し、近年注目を集めている土田玲央。
“僕”と長年連れ添った猫の“キャベツ”は人間の言葉が話せるようになり、コミカルなシーンが続くが、最後に”僕”に語り掛けるシーンでは土田の悲痛な叫びに心が締め付けられた。

舞台美術や照明なども細部までこだわりがあり、スケッチで描かれたような街並み、その中を走っていく路面電車。そんな”僕”の日常の中で物語が紡がれていく。
“悪魔”との契約の中で生まれた非日常の人生最後の1週間。
人は死と向き合い、どう受け入れていくべきなのか。そして、今日からどう生きていこうか。
観劇し終わった後の街並みが少し変わって見えた。
是非、劇場や配信で何度でも「世界から猫が消えたなら」の世界に浸かって欲しい。

公式サイト
Ⓒ朗読劇「世界から猫が消えたなら」製作委員会