亜咲花、20歳の誕生日前日に「20th Birthday Live ~EVE~」を開催。“アニソンで駆け抜けた10代”を締めくくる圧巻のパフォーマンス

イベント

2019年10月6日、東京・EX THEATER ROPPONGIにて、亜咲花さんのワンマンライブ「亜咲花 20th Birthday Live ~EVE~」が開催された。

ライブタイトルにもある通り、亜咲花さんの20歳の誕生日前日に行われた今回のライブ。2016年にデビューし、アニソンシンガーとして活動してきた10代を締めくくるにふさわしい1日となった。

10代を終わらせ、20代に進むため歌った17曲

オープニングでは幼少期から七五三、カラオケで歌を歌う姿など、これまでの亜咲花さんを振り返る映像が流れ会場を沸かせる。ほどなくして亜咲花さんの登場とともにライブの開幕を告げる「Raise Your Heart!!」のイントロが流れる。この瞬間からすでに亜咲花さんの世界だ。

「Raise Your Heart!!」ではオーディエンスの声援を受けながらサビのフレーズを畳み掛けると、続く「Just A Way You Are」の軽快なビートでは客席から自然と手拍子が溢れてくる。

最初のMCでは、今回のライブを開催することになった経緯を話す一幕もあった。亜咲花さんいわく、家族と一緒に過ごす選択肢もあったというが、10代はアニソンで駆け抜けた10年だったと考え、最後の日をライブで締めくくることにしたという。続けてファンに向かって「みんなを殺すための殺人セットリストでいきます!」と熱い言葉を投げかけ、「KILL ME One More Time?」「Round of new thing」「Unfilfilled Butterfly」を勢いよく歌っていく。

会場の熱気をさらに高まり、それに応えるように亜咲花さんも会場を煽りつつ軽やかに歌っていく。ビートもメロディもアレンジも激しさを増すのだが、ステージの中央にいる亜咲花さんには優雅さすら感じさせるパフォーマンスだった。おそらくこれを貫禄と呼ぶのだろう。

幕間ではドキュメンタリー番組風の映像に子供のころやデビュー当時を振り返るインタビューが流れる。インタビューの中で影響を受けたアニメ作品やアーティストに触れると、その流れを受けてカバーソングのコーナーへ突入する。

赤い衣装、赤い照明の中で披露したのはJAM Project「SKILL」。感情を爆発させるような歌声にオーディエンスも応えるように声を上げ、いつしか会場全体の合唱へと発展していく。しかし次の曲で会場の空気は一変、美しいイントロともに「ダイアモンドクレバス」が始まると、ファンが手に持つペンライトも自然と青白く染まっていく。

そして最後のカバーとして披露されたのは、亜咲花さん自身も影響を受けた楽曲と話す『涼宮ハルヒの憂鬱』の「God knows…」。亜咲花さんはこの記念すべき日に初めて歌うため、他のイベントでの歌唱を断り続けてきたというエピソードも披露しつつ、迫力のある歌声を会場に響かせた。

続いては“アニソンシンガー”としての真骨頂とも言えるアニメタイアップ曲をドロップしていく。「この世の果てで恋を唄う少女」「神の数式」と、TVアニメ『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』の主題歌を2曲連続で披露。どちらも力強さの中にどこか物悲しさも感じる楽曲だが、亜咲花さんはそれをライブ栄えする楽曲へと昇華していく。

ここで亜咲花さんは観客を一度着席させると、TVアニメ『ISLAND』のエンディングテーマ「Marine SNOW」へと移る。その後の「CITYSCAPE」「My Love」といった楽曲でも観客を座らせたまま。今までの亜咲花さんのライブはオールスタンディングがほとんどで、客を座らせて聞いてもらう機会はなかなかなかったという。オーディエンスを盛り上げるだけでなく、じっくりと聞かせるという新たな選択肢も見せてくれた。これから20代の道を進んでいく亜咲花さんの、新しい姿が見えた気がする。

ラストスパートの声とともに披露したのは、亜咲花さんのアニソン人生を切り開いた2曲だ。まずはTVアニメ『セントールの悩み』のエンディングテーマである「Edelweiss」、そして本編ラストは、もはや代表曲と言ってもいいTVアニメ『ゆるキャン△』のオープニングテーマ「SHINY DAYS」。カバー曲も含め多彩な楽曲を披露してきた今回のライブだが、ラストをこの上なくファニーで、ファンシーで、ハッピーなナンバーで締めくくるのはこの上なく亜咲花さんらしい。

とはいえ、これだけでライブは終わらない。鳴り止まないアンコールを受けて再び亜咲花さんが、歴代ライブのTシャツをひとつに繋ぎ合わせたという新たなコスチュームに身を包み登場する。バンドメンバーの紹介で雰囲気が和らいだところで、突如として誕生日を祝福するサプライズが始まる。ステージにはアメリカでポピュラーな、お菓子の入ったピニャータ人形が姿を見せる。アメリカではピニャータ人形を叩き割ってお菓子をもらうのが誕生日の風習なのだが、思いのほか人形が固く、結局バンドメンバーに助けてもらうも、結局割れずに自力で取り出すという、笑いの絶えないサプライズとなった。

サプライズはもうひとつ、亜咲花さんの歌手デビューを支えた父親からのビデオメッセージが流れると、ピニャータのくだりから一転、感動ムードに包まれた。

そんなムードを引き継ぐように歌ったのは、自身が作詞を担当した「終わらない夢」。まるでこれからの自分自身を重ね合わせたようなタイトルを持つこの楽曲を、時折涙で声をつまらせながら歌う。

最後に、亜咲花さんからのサプライズ返しとして、成人の日である2020年1月13日にファンクラブを設立することも発表。和やかな空気になると、本当のクライマックス、デビュー曲「Open your eyes」が始まる。このライブを、そして10代最後の終わらせるのに、これ以上の曲はない。