2021年4月から放送がスタートするTVアニメ『セスタス -The Roman Fighter-』。本作は1997年に「ヤングアニマル」(白泉社)で連載を開始し、現在も熱烈な支持を獲得している技来静也氏の「拳闘暗黒伝/拳奴死闘伝セスタス」を原作とした作品だ。
古代ローマを舞台に、過酷な運命に苦悩しながら自由を求め這い上がっていく少年奴隷・セスタスの成長が描かれる。拳ひとつで闘う拳闘奴隷たちの熱いバトルを繰り広げながらも、時代背景や文化など史実に基づいた世界観の中、人物一人ひとりの心理描写にも注目が集まる。
本作で主人公・セスタス役を演じるのが峯田大夢さん。峯田さんはアニメで主演に抜擢されたのは今回が初のこと。『セスタス』を前にした現在はどんな心境なのか、そして作品に対してどうぶつかっていくのか、話を伺ってきた。
「自分が今、できる限りのことをやろう」の気持ちで掴んだセスタス役
――峯田さんは今回、『セスタス』で初の主演を務めるということですが、原作に対してはどのような印象をお持ちでしたか。
峯田さん:この作品はキャラクターがそれぞれの自由を探す物語だと思います。セスタスにはセスタスの思う自由があるし、戦っている戦士たちにも、それぞれが思い描く自由があります。自由のあり方はみんな違って、ぶつかり合うたびにセスタスが少しずつ成長していきます。探し求める自由と、キャラクターの成長がリンクしているのは魅力の一つですね。
――峯田さんが演じるセスタスに対しての印象は?
峯田さん:セスタスはとても素直で優しい性格ですが、素直すぎるがゆえに判断を誤ったり、やってはいけないことに踏み込んでしまったりと、未熟なところもあります。そのたびに師匠であるザファルに正しい道を教えられると、セスタスは反発することなく、しっかりと受け入れて、壁を乗り越えていく。セスタスが持つ素直さが表れていて、僕が大好きなところです。

――ちなみに、原作はいつごろ読んだのでしょうか。
峯田さん:オーディションに向けて読ませていただきました。実際に読んでみると情報量がとても多くて驚きました。セスタスの心情はもちろん、戦う相手にもいろいろな思いが詰まっていて、それが事細かに描かれているんです。だんだんと両者に感情移入をして、「なぜ戦わなければならないんだろう」とか、たくさんのことを考えるようになりました。
――オーディションを受けての抜擢ということですが、その際にスタッフからはなにかディレクションを受けましたか?
峯田さん:川瀬総監督からはかなり細かい指示があったのを覚えています。といっても演技そのものではなく、セスタスがどんな人物で、どんな感情を抱いているのかという説明が中心でした。「セスタスはこんな性格で、普段はこんな事を考えています。だから、演じる際はここに注意してください」といった具合に、ロジカルに説明していただいたので、僕としてもさらに理解が深まりました。
――では、オーディションの段階からキャラクター像は掴めていたんですね。
峯田さん:そうですね…でも、オーディションの段階ではあまりキャラクター像に依存しないよう心がけました。僕はオーディションのときは考えすぎず、「自分が今、できる限りのことをやろう」とシンプルな心持ちで挑戦するようにしています。もし落ちたとしても、それはキャラクターには関係なく、自分の実力なんです。
――実際にセスタス役を勝ち取ったときのお気持ちはいかがでしたか。
峯田さん:嬉しかったのはもちろんですが、「なんのドッキリかな?」と疑ってしまいましたね(笑)。最初に受かったことを教えてもらったのはちょうど事務所にいたときで、マネージャーから突然「おめでとう」と言われたんです。僕はもうなんのことか分からなくて、「誕生日じゃないですよ」と返したくらいですから。マネージャーから合格のメールを見せてもらって、ようやく理解が追いつきました。
僕はもともと、喜びの感情が遅れて出てくるタイプなんですけど、そのときばかりは涙が一筋流れました。本当に嬉しかったし、すぐ親に連絡しました。
――喜びの一方で、プレッシャーも強いのでは?
峯田さん:もちろんプレッシャーを感じてはいるんですが、心配よりも自分の力を全力で出したい気持ちのほうが遥かに強いです。ワクワクというか…『セスタス』という作品にぶつかるための熱気がどんどん高まっているところですね。
――できることを全力でやろうという気持ちは、オーディションから一貫しているんですね。
峯田さん:そうですね、迷いはないです!
殴られた痛みを表現するため、ボクシングにも挑戦
――峯田さんはこれまでもアニメやゲームに出演する機会があったと思います。その当時と感覚、考え方に違いはありますか?
峯田さん:主演である以上しっかりしなければ、と思う一方で、実感が湧くのは放送が始まってからだと思います。今までの作品は全て貴重な経験でしたし、無駄なことは一つもありません。経験があったからこそ『セスタス』につながったことを、放送を通して証明したいです。
――主役を務めるにあたって、なにか新しい挑戦はしましたか?
峯田さん:ボクシングを始めました! まだまだ習いたての初心者ですけど、役作りのために経験を積むのはありだと思ったんです。
――実際のところ、ボクシングの経験は活かせそうですか?
峯田さん:対戦相手を前にしたときの緊張感は想像よりも遥かに強くて、この心境を味わえただけでも貴重ですよね。僕はもともと柔道をやっていたんですが、忘れていた感覚を思い出せたというか。
戦いである以上勝ちにいかなければいけない、でも相手がどんな技を繰り出してくるか分からない、なにをされても一瞬で判断しなければいけない。ひとつひとつの動作にある緊張感は、アニメの演技でも役に立つと思います。
――『セスタス』の場合はセリフ以外にも、戦闘中の叫び声やうめき声もあると思います。そういった声を出すときもボクシングの経験は役に立ちそうですね。
峯田さん:まさにそれも想定していることで、ボクシングジムの先生にパンチしてもらっています(笑)。パンチされた瞬間の息ができない感じもしっかり味わっていますし、よりリアルな表現に近づけているのではと、僕自身も期待しています。ちょっとしんどいですけど、実際にやられてみないと分からないですから。
――確かに、殴られた痛みは叫べば表現できますけど、息苦しさとなると難しそうです。
峯田さん:特に『セスタス』はリアルさが求められると思うんです。殴られた場所によって痛みの質も違うでしょうし、反応も変わってくるはずです。だから今は、いろいろな場所でパンチを受けるように心がけています(笑)。
――舞台とアニメで、演じ方に違いはありますか?
峯田さん:根本は変わらないと思います。確かに舞台だと体全体を使えて、アニメだと声だけに限定される違いはあります。だけどそれぞれに難しさはあるし、その難しさに対してどう対処していくか、考える過程は同じに思えます。逆に考えることが楽しいくらいです。
――放送が始まったら峯田さんもご覧になると思います。視聴者として本編に期待していることはありますか?
峯田さん:まずはザファル先生が放つ名言の数々がアニメではどう扱われるのか、注目しています。あとはエムデンもお気に入りのキャラクターの一人で、激アツな試合を戦う展開が大好きなんです。エムデンに限らずみんな地道にコツコツと積み上げていく様子が印象的で、それがしっかりと描かれていたら嬉しいですね。

――地道に積み上げたものが報われた瞬間は、『セスタス』の魅力の一つだと思います。
峯田さん:主人公のセスタスだけでなく、多くのキャラクターにしっかりとしたバックボーンがあって、みんな事細かに描かれていますよね。アニメだと声優のボイスはもちろん、劇伴も入るでしょうし、地道な部分もより派手になってくれるんじゃないかと期待しています。
――『セスタス』での主演という経験を経て、ご自身はどのように成長していきたいと考えていますか?
峯田さん:僕の究極の目標は、担当した作品が実写化とか、舞台化とか、いろいろな展開を見せたときに、全部自分で演じることです。そのために僕は歌やダンス、アクロバットにも挑戦しています。2次元だけではなく、すべてにおいてキャラクターに寄り添える声優になりたいですね。
――それではアニメの放送に向けて、峯田さんの意気込みを改めて教えていただければと思います。
峯田さん:セスタスの地道な努力、それと感情の機微を細かく丁寧に表現できるよう、僕自身も努力を続けていきます。そしてバトルシーンでは熱い演技を見せられるように、自分なりの答えを追求しています。
バトルシーンは元プロボクサーの亀海喜寛さんが監修されているということで、きっとすごい迫力の映像に仕上がると思います。僕の演技も含めて、ぜひ注目してもらいたいです。

『セスタス -The Roman Fighter-』

【放送情報】
4月14日よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて毎週水曜日24:55から放送開始
FODにて4月14日配信スタート 毎週水曜日24:55最新話配信
(配信ページ:https://fod.fujitv.co.jp/s/genre/anime/ser5g52/ )
※放送日時は予告なく変更になる可能性がございます。
【スタッフ】
原作 : 技来静也「拳闘暗黒伝/拳奴死闘伝セスタス」
(白泉社「ヤングアニマルZERO」連載)
総監督 : 川瀬敏文
シリーズディレクター : 門間和弥
シリーズ構成 : 川瀬敏文
脚本 : 川瀬敏文、三浦浩児
3Dキャラクターデザイン : 吉國圭
2Dキャラクターデザイン : 志賀祐香、中澤あこ
美術監督 : 永吉幸樹
色彩設計 : 金光洋靖
撮影監督 : 佐藤哲平
CG監督 : 林成輝
CG制作 : LOGIC&MAGIC
アクションコーディネーター : 六本木康弘
格闘シーンアドバイザー : 亀海喜寛
音楽 : 得田真裕、眞鍋昭大、植田能平
音響監督 : なかのとおる
OPテーマ : Dragon Ash「エンデヴァー」
制作 : BN Pictures
【キャスト】
セスタス : 峯田大夢
ザファル : 小山力也
ルスカ : 小野賢章
デミトリアス : 東地宏樹
ネロ : 上村祐翔
アグリッピーナ : 井上喜久子
サビーナ : 遠藤綾
エムデン : 竹内良太
ロクサーネ : 小林沙苗
ナレーション : 大塚明夫