海外ドラマ『インコーポレイテッド』主人公役を演じた細谷佳正のインタビュー到着。海外ドラマ初主演に「感慨深いものがありました」

3月7日よりDVDがリリース中の、ベン・アフレック&マット・デイモンが製作総指揮を手掛けた海外ドラマ『インコーポレイテッド』。
今回、主人公ベン・ラーソン役で海外ドラマ初主演を務めた日本語吹替キャスト・細谷佳正さんのインタビューが到着。本作に対する熱い思いや見どころ、印象に残るシーンなどについて語ってている。

本作は、政府に代わって多国籍企業が支配する 2074年の世界を舞台に、究極の“富”と“貧”に分断された世界を描く“二極化 SF サスペンス”。ベンは愛する女性エレーナを取り戻すために、貧民エリア“レッドゾーン”の出身であることを隠しながら、裕福な“グリーンゾーン”の大企業に潜り込み、破滅と隣合わせの計画に身を投じていく。

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――本作の主人公ベン・ラーソン役のオファーを受けたとき、どんなお気持ちでしたか?
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マット・デイモンとベン・アフレックが製作総指揮を手掛けるドラマ、とだけ聞かされていたのですが、どちらも実績のある方だったので、「これは面白い作品になるな」と思いました。プレッシャーよりも、この2人が創る世界観の中で主人公ベンを演じさせていただける喜びの方が大きかったですね。
――しかも今回、海外ドラマ初主演とお聞きしました。
実はそうなんですよ。そもそも僕は、海外ドラマや映画の吹き替えで声優のキャリアをスタートさせたんですが、当初はアクションやコメディなどの視覚的なお芝居の中で、若者らしいエネルギッシュな声を求められてお仕事をいただくことが多かったと思います。それが、ここに来てようやく大人の役を任せていただけるようになったのかな?と思うと、感慨深いものがありましたね。

――吹き替えの現場はどんな感じでしたか?

周りが技術力の高い声優さんばかりだったので、圧倒されるといいますか、プレッシャーがもの凄く大きかったですね。デビュー当時こそ、海外ドラマや映画をやらせていただきましたが、その後はどちらかというとアニメーションのお仕事をたくさんいただくようになっていたので、果たして吹き替えのエキスパートの方々の中で「自分は遜色なくやっていけるのか」という不安が常にありました。

――エキスパートの方々に揉まれながら、初主演のベン役、手応えはありましたか?

ベンの心の動きがキーポイントのドラマだったので、彼のバックボーンにあるものを深く考察しました。僕のキャリアの中で一番複雑な役柄だったので、とてもやりがいはありましたね。僕は自分を過小評価してしまうタイプなので「これで正解なのかな?」とか、いろいろ考え込んでしまうのですが、第1話、2話にあった違和感が、回を重ねるごとに薄れていくのを感じ、後半に向かっていく中で、「きっと、これでいいんだ」と自分で納得できるようになりました。視聴者の皆さんがだんだん声に聞き慣れていく、あの感覚に似ているかもしれませんね。

――本編で描かれる究極の二極化社会、細谷さんはどのように受け止めましたか?

デフォルメされてはいますが、未来を暗示するような二極化社会(富裕層のグリーンゾーンと貧困層のレッドゾーン)、アメリカをはじめ、今の世界情勢を見渡してみると、凄く身に迫るものを感じました。レッドゾーンで生まれ育ったベンは、昔、生き別れた初恋の女性エレーナを捜すために、グリーンゾーンに潜り込むのですが、常に監視されている環境に置かれているので、そこがスリルを生むわけですよね。

完全に管理される社会って、僕も怖くて仕方ないですが、いずれこうなって行くんだろうなというリアルさは感じました。マイナンバー制度も導入されましたし、いたる所に監視カメラが設置されていますし、指紋認証によってその人の情報が見えてしまうというテクノロジーにも脅威を感じます。

――ベンを演じていて、細谷さんが“面白い”と感じたシーンはどこですか?

最初の方のエピソードで、ベンが会社の同僚数人でレッドゾーンの怪しい店に繰り出し、上司を騙しておとしめようとするのですが、そこに同席していたライバルのロジャーがベンを疑い始めるんです。その 2 人の水面下での攻防というか、お互いの黒い部分が見え隠れする舌戦がとにかく面白くて、演じていて凄く楽しかったですね。

――確かに正義感が強い反面、冷酷な一面を併せ持つ、つかみどころのないキャラクターですよね。

グリーンゾーンに連れ去られたエレーナを捜す、という物語の核はあるんですが、ベンは凄く頭が切れるので、「彼女を助け出したい」という純粋な気持ちだけではないような気がするんですよね。自身が立てた計画を上手に利用して、最終的にグリーンゾーンで着々と地位を積み上げているところを見ると、必ずしも愛のためだけで動くような人間ではないと僕は思います。そこがダークヒーロー的で魅力的なんですよね。

――ベン役の俳優ショーン・ティールについてはどんな印象をお持ちですか?

ベンは、グリーンゾーンとレッドゾーンの狭間で生きる象徴的な人物。ベンを演じたショーン・ティールは、顔立ちや雰囲気がどこかエキゾチックな感じがしますよね。そこが、「どちらに転ぶかわからない」というミステリアスな視覚的効果を与えていたのではないでしょうか。

――最後に、本作のご覧になる方へメッセージをお願いします。

マット・デイモンとベン・アフレックの2人が仕掛けた完璧な管理システム社会の中を、見事に欺いて行く主人公ベンのしたたかなヒーローぶりは必見です。もっと大きな視点で言えば、プライバシーのない監視社会に対する批判もメッセージとして込められているので、いろんな角度から観ていただきたいです。

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