神山健治監督が早稲田祭でトークイベント開催。『攻殻機動隊S.A.C.』から『ひるね姫~知らないワタシの物語~』まで、キャラクターたちの誕生秘話を語る

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『東のエデン』『精霊の守り人』『攻殻機動隊S.A.C.』など、重厚な世界設定を駆使して人間ドラマを描いてきた神山健治監督が描くアニメ映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』が2017年3月18日(土)に公開される。
本作の公開に先立ち、11月5日に、早稲田祭内の早稲田リンクスが主催する「キャラプロ!」にて、神山監督が自ら描いてきたキャラクターの魅力を紐解くトークイベントが開催された。

日本のみならず海外からも駆け付けた200人を越えるファンからの拍手に迎えられて登場した神山監督。過去作の映像や画像を見ながら司会の質問に応じるかたちでキャラクターの解説をした。

『攻殻機動隊S.A.C』草薙素子については、声優の田中敦子さんには(押井監督の)劇場版よりも15歳若く演じてほしいと指示。またテレビシリーズなので、ずっと付き合っていけるキャラクターを心掛けたという。
続いて『攻殻機動隊S.A.C.』のタチコマは、押井監督版ではシリアスをもとめてタチコマは登場しなかったが、テレビシリーズである本作では重要なキャラだ。
神山監督はただのペットロボットにしたくない思いが強く、この作品のテーマを体現させるキャラクターにしたと話す。

『精霊の守り人』のバルサは王様に追われるという勝ち目のない戦において、皇子を守るバルサの動機はなにか?を考えに考えた。同じ女性主人公である草薙とよく比較されるが、草薙になくてバルサにあるものは母性であると解説した。
そして『東のエデン』の滝沢朗に関しては、スクランブル交差点で全裸で置き去りにされても5分後には衣服を手に入れられるようなサバイブ力がある人物はどんなキャラクターか、というところから始まったと語る。世界ではなく好きな人を守りたいという性格はデビルマンが元になっているから“アキラ”という名前にしたとのことだ。

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さらに2017年3月公開の新作『ひるね姫~知らないワタシの物語~』の主人公・森川ココネについては、これまでのキャラクターと違って普通の女子高生だが、実はもともと違う名前だったことや、元ヤンの父親に似てちょっとヤンキー(?)な性格であることも明かされた。

「普通と見せかけて実はサイボーグなのでは?」という会場の反応には、「普通の田舎の女子高生です」ということを強調。
特殊な能力を持たない主人公がどんな物語を生み出すのかは明かせないという監督に対し公開が待ちきれないファンも多い中、今回のために新たな2枚の場面カットが公開された。

新たに明かされたカットに映るぬいぐるみのようなかわいらしいキャラは、名前は明かされなかったものの柴犬がモチーフになっていると紹介。
さらに、ココネと青年が映るもう1枚のカットには、VRのようなものを持っている様子も。舞台が2020年ということもあって、「作品に、少しだけこうなっていたらいいなという願望を入れた」という神山監督。

観客から、なぜ舞台を岡山にしたのかという質問を受けて、旅行中に偶然舞台になっている地を訪れたという監督は、日本で一番夕日がきれいな場所なので、映画を見てぜひ行ってほしいと語った。最後に、作中に登場するロボット・ハーツの着ぐるみが登場。忠実に再現されていると感心した様子の監督は、ハーツと一緒に記念撮影し、終始楽しいイベントとなった。

『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』ストーリー
2020年、東京オリンピックを3日後に控えた夏の日。私の家族に、事件が起きた。
「なんでこんなに1日中、眠てえんじゃろ?」 岡山に父親と二人で暮らす女子高生の森川ココネは、所かまわず昼寝をしては怒られる。そんな彼女はある時、最近いつも同じ夢を見ていることに気づく。窮屈で、でもどこか温かいその夢は、彼女の知らない家族の秘密に繋がっていたのだった。

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公式サイト