『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』山寺宏一×福井晴敏オフィシャルインタビューが到着

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6月11日より上映がスタートする『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』について、山寺宏一(アベルト・デスラー役)と福井晴敏(構成・監修・脚本)のオフィシャルインタビューが公開された。

山寺宏一(アベルト・デスラー役)×福井晴敏(構成・監修・脚本)オフィシャルインタビュー

――まずは山寺さん、『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』をご覧になった感想からお聞かせください。
山寺:『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下、『2199』)も『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『2202』)も何度もみているはずなのに、改めていろいろ感じるところがありました。真田さんの口から語られるっていう仕組みは、さすが福井さん。新しい切り口でこの作品を見事にまとめ上げてくださったと感動いたしました。

――物語の語り部として真田志郎を選んだのは?
福井:「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの核になるのは、古代進という男の物語なんですよね。彼が何を見て何を感じて、最終的にどこへ向かったかを描く物語なんです。ただしそれを本人の目線で語ると、どこか偏ったものになってしまう。それを引いて見る役が真田さんだという人選でした。真田さんは最初の『宇宙戦艦ヤマト』から有名キャラクターですし、昔から解説役を背負ってきた人ですから。

――ドキュメンタリータッチの構造はどのような意図だったのでしょう?
福井:旧シリーズの「宇宙戦艦ヤマト」という時代は、身も蓋もない言い方をしますと「毎年のように新しい宇宙人が攻めてくる時代」ですよね。当時としては、ちょっといくらなんでも漫画すぎると受け取られたところもあったと思うんです。ところがいまこのご時世になってみると、毎年のように新しい災害が起きています。すなわち「宇宙戦艦ヤマト」という時代を現代日本の鏡像として描ける時代が、来てしまったと感じたんですね。もちろん楽しいというのがフィクションの魅力ですが、現実への見方が変わる、現実を再確認したり捉え直したりできるということも、大きな魅力のひとつだと思うんです。そこを、みなさんに肌身で感じていただくため、あえてちょっと引いたドキュメンタリーとして描けたらという意図でした。

――おふたりにとっての「宇宙戦艦ヤマト」との出会いについてお聞かせください。
福井:本放送のときにはまだちょっと小さすぎて、最初は小学校4年生くらいの頃にみた再放送でしたね。最終回には滂沱の涙を流したのを憶えています。

山寺:僕は、そろそろアニメは卒業かなという中学1年生のときが本放送でした。いやこれはすごいと毎週夢中になってみていましたね。そのとき富山敬さんのことが大好きになって、古代くんはもちろん、あれもこれも真似してましたね(笑)。当然デスラーも、まだ声変わり前の声で真似てました。いま思うと、声優という仕事を初めて意識するようになったのも、ヤマトがきっかけだったかもしれません。

――特に『2202』ではデスラーの背景に深みが出たと思うのですが、演じ方に変化はありましたか?
山寺:びっくりしました。こんなことになってたのかと。だから、ああだったんだと、腑に落ちるところがありました。イスカンダルとスターシャへの想いをどう演技に出すかは非常に難しかったんですけども、難しいほど声優としてはやりがいがあって嬉しいので、非常にプレッシャーもありましたが、演じていて喜びでしたね。

福井:旧シリーズではデスラーの捉え方が、ある時点からがらりと変わるんですね。最初の『宇宙戦艦ヤマト』のときは等身大というよりは、超人的な帝王なんです。それが『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』で古代たちの人間的な姿を見て、自分には何かが欠落してたんだと、人生最後の5分間で悟って死んでいった。あの瞬間に評価が爆上がりするんですね。「帝王」から「亡国の王子様」になったんです。『2199』から『2202』で大きく変化するのは、実は原作を踏襲してるんですよ。

山寺:うまく繋げていただいて、ありがとうございます。『2202』でキーマンなんてヤツが出てきたときは、ちゃっかりヤマトに乗ってるし、めっちゃかっこいいし。「なんだこれ!?」と嫉妬してましたから(笑)。ところが「デスラーとそんな繋がりが!」とわかると、そこから急にキーマンが愛おしくなりました。

――『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』ご覧になって改めて、心に残る印象的なシーン、台詞をお聞かせください。
山寺:もうすべてが名台詞ですよね。『さらば』では古代の台詞だった「なぜ愛し合わなかったのだ……」も言わせていただきましたし、やはり印象的だったのは、ミルの存在ですね。ミルが殺されたときに「なんと愚かな」と一言言わせていただきましたが、あの場面がものすごく大きかったですよね。あと真田さんの語りのなかにも印象的な台詞が沢山あって、なかでも真田さん目線で登場人物の感情を語ってくれるんですよ。終盤のところですが、真田さんの台詞からキーマンに繋がるシーンには鳥肌が立ちました。

――最後に最新作『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』(以下、『2205』)も踏まえて、ファンへのメッセージをお願いします。
福井:すでに『2205』はアフレコが始まっているんですが、前々回の収録のあと山寺さんが「精神的にきたわ~」とおっしゃっていたのが印象的でした。

山寺:もう最初から、きちゃいました。「えー!!」って思うようなことが起きてます。すごいことになってます。そんな最新作を楽しんでいただくためにも、まずはこの『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』をご覧いただきたいですね。いままで作品に触れてきていなかった人には入門編として楽しめますし、大好きだった人もこれをみると、ああそういう捉え方だったのかと、新たに感動が甦ってくる。いろいろな思いで楽しめるので、すべての人に是非みていただきたいですね。

福井:『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』というタイトルでドキュメンタリータッチに巨視的に世界を捉えていますけど、あくまで誰が何をしたかという人間のドラマが根本ですので、これまでヤマトを見たことのない方でも、わりとすっと入れるんじゃないかと思います。真正面から、今という時代と向き合った作品です。とはいえ元々はいまの大変な状況が生まれる前に作られたものですので、これから先、この連続してやってくる不安の時代をどう生き抜くかということに関しては、続く『2205』という物語でしっかりと掘り下げております。「希望」という言葉の大事さ重さを再確認できる物語になっていますので、ぜひご覧になっていただければと思います。

■山寺宏一(やまでらこういち)
6月17日生まれ、宮城県出身。ジム・キャリー、ブラッド・ピット、エディ・マーフィーなどの洋画吹き替えやナレーションのほか、アニメ『宇宙戦艦ヤマト2199』『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』アベルト・デスラー役、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』トグサ役、『それゆけ!アンパンマン』チーズ役・ジャムおじさん役、など幅広く活躍している。

■福井晴敏(ふくいはるとし)
1968年生まれ、東京出身。作家。主な著作に『Twelve Y.O.』、『亡国のイージス』、『終戦のローレライ』など。映像作品への参加も多く、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』でシリーズ構成、『機動戦士ガンダムUC』で小説とストーリー、『機動戦士ガンダムNT』で脚本を担当。

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©2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会
©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会