『Gのレコンギスタ Ⅱ』「ベルリ 撃進」上映記念舞台挨拶レポートが到着。富野由悠季総監督に加え佐藤拓也、高垣彩陽らキャピタル・アーミィのキャストが集結

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2月21日(金)より2週間限定で上映される劇場版『Gのレコンギスタ Ⅱ』「ベルリ 撃進」の上映記念舞台挨拶が本日2月22日(土)に行われた。

舞台挨拶には富野由悠季総監督を始め、主人公ベルリのライバルとなるマスク役を演じる佐藤拓也さん、マニィ役の高垣彩陽さん、バララ役の中原麻衣さん、デレンセン役の小山剛志さん、ベッカー役の姫野惠二さんとキャピタル・アーミィに所属するキャラクターを演じる声優が集結した。

<以下、オフィシャルレポート>

小山、高垣、佐藤、中原、姫野のキャスト陣を先に通し、最後に富野総監督がステージに登壇。
順番に来場者にご挨拶をして舞台挨拶がスタートし、小山の大人な渋い声で挨拶をした際には、高垣の「大人ないい声だなぁと(笑)」という反応で、一気に場が和んだ。
そして、姫野の順番になると富野総監督が「今回の主役です」と紹介。姫野が恐縮するという一幕も。
登壇時に劇場版のテーマソング、DREAMS COME TRUEの「G」がかかったことに対して富野総監督が、「ドリカムには絶対負けちゃいけないぞという気持ちで、かなりプレッシャーがあります」と挨拶した。

―――「2014年から放送されたTVアニメが、こうして全5部作の劇場版として上映されるというのは改めてどうお感じになりますか?」

小山「何せ、私のアニメデビュー作が1999年、富野総監督の『∀ガンダム』ということで。今、僕は52歳なので、いろんなことをやらせていただいてきて、そんなに緊張とかすることも無かったんですが、今日は久しぶりに緊張しますね(笑)。やっぱり生みの親の前ですし」

富野「そう言ってもらえると嬉しいんだけど、昔からよく知っている顔なので、何で緊張しているのかなって(笑)。とても感じやすい方なのね」

小山「実は、感じやすい方なんです(笑)。ということで、もう感無量としか言いようがありません」

佐藤「TVシリーズの先行上映会が2014年くらいなので、もう6年くらい経つんですね。あっという間だなという気がするんですが、最初に劇場版の収録にあたり、自分でもTV版のBlu-rayを見直したりしたんですが、時を経るごとに味わいが増す作品だなと、送り出す側としても演じ手としても、第2部を収録していて改めて感じさせられる作品だなと思いましたね」

姫野「(舞台挨拶で)緊張し過ぎて声が出なくなっちゃて(笑)。今日は、富野総監督の大ファンである僕の友達が「舞台挨拶には、これを着ていけ!」と、この(ベッカーの顔と名台詞が描かれた)Tシャツを渡されて、着てきました!(会場拍手)」

姫野「僕自身はベッカーのようなヤバい奴じゃないんです。TV版の第10話を収録した時に、こういうキャラクターだとわかったんです。あの時は『進撃の巨人』の荒木哲郎監督がいらして演出されたんですが、演じていると「全然足りない。もっとおかしい奴になってくれ」と言われまして。その結果、現在に至っていると。そういう感じなんです。」

―――「第2部ではモビルスーツから降りてきたバララの足を、マスクがさりげなく押し出すシーンがありました。あの二人の距離感を見ると、マニィはイラっとすると思うんですが、それぞれのキャラクターを演じる側からはどのように感じていますか?」

高垣「第1部では学生だったマニィが、第2部ではみんなを追いかけてアーミィに入って、そこで会ったマスクが海に向かって叫んでいる姿を見るんですよね。それだけですべてを受けて止めて理解して「この人の向かう目標に寄り添って行こう」と、あのわずかな時間で察しているんです。だから、あの足を押し出すやり取りだけで二人の関係も察していますよね。それから、マスクが生身でエフラグに飛び移るシーンでは、「こんなにバララって叫んでいたんだ」と思ってちょっとイラっとしました。命が危険な時はマニィを呼んでくれないんだって」

佐藤「だ、だ、台本どおりです」(会場笑)

中原「こっちからすると、いい感じでやっていたのに「勝手に入ってきて、え? 何?」というところはあるわけですよ。バララとマスクは大人な関係なわけです。ビジネスパートナーであり、べたべたはしないけど、「マスクは私のでしょ?」という気持ちがあるのに、急に来て勝手にいい感じになって……」

佐藤「もうやめて〜。痴話ゲンカだから〜」(会場笑)

佐藤「マスクが悪かった。男性諸君は共感してもらえるかわからないですけど、マスクは自分の向上心があって、「こうなりたい」という思いを持ってキャピタル・アーミィに入るわけだけど、女の子が応援してくれたり、認めてくれたりすることで、男の子は立ち位置を確立することができる。支えてもらってナンボみたいな。「やっぱり男ってダメね」と女性の方にはわかってもらえたら嬉しいなと思いますね」

―――「富野総監督は男女関係の描き方など、こだわったところはありますか?」

富野「今、説明されたことを出るようにするために、それこそどれだけ考えたかということですね。それで、バララの足を受け止めるカットができた時には、「うまくいった!」って一晩中泣いていたくらいでした。人間関係をワンアクションだけで描けるということをやれたのは、50年近くやってきて初めてですからね。あのシーンには身震いもしたし、それこそエクスタシーを感じましたね」

―――「そういう所作のひとつにも「生々しさ」を感じたのですが、人間らしさの描き方はこだわられましたか?」

富野「ベッカーがまさしくそうなんだけど、姫野さんのああいう声、男性的なところだけでない、凶暴性も含めて人間性なんですよ。そういう臭いが全部のキャラクターになければいけないといつも思っています。そして、さっきから話の中で大事なところが抜けていたのにイライラしていたんだけど、バララというキャラクターは、『G-レコ』の中に出ている中で、一番いい女なんです。それは、これから描かれる第4部から第5部にかけてのバララの行動性を見ているとわかるはずです」

―――「小山さんはベルリとの戦いに敗れる時に演じたお気持ちはいかがでしたか」

小山「一番印象的だったのは、最後の台詞だったと思うんですよ。あの台詞は、テレビの時はいろんな、複雑な感情を持って演じたつもりだったんです。驚きや「ベルリ、やるな」というような感情を交えてやらせていただいた記憶があるんですが、今回の劇場版にあたっては、「そうじゃない」という富野総監督の演出がありまして。単純に驚きのみでやらせていただいたんです。改めて見ると、そっちの方が切ないですよね。死ぬ間際にそんなにいろんな感情が出ることはないので、こっちの方が切ないなと思いましたね。あとは、ケルベスがデレンセンの死に触れてくれたのは嬉しかったですね」

富野「ありがとうございます。そういう風に言ってもらえると嬉しいです。劇を組んでいる感じから見ると、客観的に説明が足りないようにも思えたのであのシーンを追加しているんです。デレンセンの立場から見ると、そう聞こえてくるのかということは、今日初めて教えてもらいましたね」

―――「今回はDREAMS COME TRUEのテーマソング「G(ジー)」がエンディングで流れています。エンドロールの映像はテーマソングの完成を待って、ギリギリの作業で完成したとお聞きましたが、こだわりのポイントを教えて頂けますでしょうか?」

富野「吉田美和さんのボーカルに負けないようにエンディングロールを作らなければならないという状況ながら、とにかく制作時間がないわけです。そのため、こういう形になりましたという言い方もできます。逆に言うと、兼用の絵しか使えないからこそ、こういう仕上がりにできて、おそらく時間があって『G-レコ』のキャラクターを使って新しい映像をつけていたら、絶対に負けていましたね。というのは、歌詞を見てもらうとわかるんですが、吉田美和という天才的な作詞家の詩は大変なものだと思っています。『G-レコ』のことをものすごくよく知っていて、ものすごくよく調べて書いている。単なる請負仕事ではないんですよ。ここまで読んでいてくれる第三者がいるときに、馴れ仕事で新作カットをつけたら滅茶苦茶に負けた気がするので、こういう風に仕上げられて良かったなって思っています。エンディングの絵もスタッフロールも見れなくて煩わしいかもしれませんが、楽曲の勢いに負けないようにするためには、僕はああするしかなかったんです。一方で、ドリカムの「G」のPVにも『G-レコ』の絵を使ってくれることで、ようやくこの作品もメジャーな装いを持つことができたのは、ありがたいです。そして、それも、これも吉田美和という女性が、こちらの思っていることを全部見抜いていてくれたおかげですね。本当に感謝しています」

そして、舞台挨拶の締めとして、改めて富野総監督からメッセージが伝えられた。

富野「本日はお忙しい中、ご来場ありがとうございます。ようやく2本目が終わりましたということで、あと3本ありますし、これ以後の宿題として、DREAMS COME TRUEに負けないように、底上げしたものを作品にできたらいいと思っていますし、おそらく今思っている予定で行けば、吉田美和さんには怒られない第5部まではいけるのではないかといううぬぼれもあります。そういう意味では、アニメのキャリアが持っている部分では、「ドリカムに負けていられるか」という部分を示しているつもりでもいますので、最後まで応援していただけるとありがたいです。本日はどうもありがとうございました」

劇場版『Gのレコンギスタ Ⅱ』「ベルリ 撃進」
総監督:富野由悠季
2020年2月21日(金)より2週間限定上映
上映劇場:全国29館
配給:バンダイナムコアーツ、サンライズ

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