『攻殻機動隊ARISE AA』新キャラクター・パイロマニアを演じるのは津田健次郎。冲方丁が語る新エピソードの見どころも紹介

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2015年4月より放送中の『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE(アライズ オルタナティヴ アーキテクチャ)』。2013年6月より順次劇場上映された『攻殻機動隊ARISE』シリーズ全4話を、それぞれ前後編に再編集、さらに映画『攻殻機動隊 新劇場版』につながる完全新作エピソード2話を加えた意欲作だ。
今回は、その完全新作エピソード2話の詳細が明らかになった。タイトルは「PYROPHORIC CULT」。前後編として6月7日、6月14日(TOKYO MX/ほか全国順次)に放送される。本作の新キャラクター・パイロマニアは炎を自在に操り、『ARISEAA』シリーズを通して事件の発端、物語の核となっている「洗脳・ゴーストへの侵入・擬似記憶の形成」を一度に行う電脳ウィルス“ファイア・スターター”の信奉者だ。作中では、社会の絶対悪として草薙と対峙することになる。

そしてこのパイロマニア演じるのは、TVアニメ「TIGER & BUNNY」、「テニスの王子様」などで知られ、俳優としても活躍する声優・津田健次郎さん。攻殻機動隊のファンであったという津田さんはオファーを受け「テンションがあがった」と快諾したという。ビジュアルの通り「淡々と喋るキャラクター」であるが、「その中でどこまでセリフにエネルギーを込めていくか」に苦労したそうだ。

また、シリーズ構成の冲方丁氏曰く「社会を破壊することにいささかのためらいも持たない」という。パイロマニアと草薙たちの戦いを描く「PYROPHORIC CULT」に期待したい。

パイロマニア (Pyromaniac)

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ファイア・スターターに感染したウィルスの信奉者である電脳ウィルス・ブローカー。ファイア・スターターの可能性を信じその流布に尽力しており、陸軍情報部ホヅミ大佐とも接触があった。米国情報部の情報によると、南米系のガルベスという人物であることが判明しているが、その詳細は不明。『炎の天使』の一節を口ずさむことがある。

津田健次郎オフィシャルコメント

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『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を初めて見たとき、こんなに静かで深いSF映画がありうるのだと、とても強い印象を受けました。ですからシリーズ最新作にあたる『ARISE』の出演依頼をいただいた時はテンションがあがりました。アフレコの時もバトーの軽口を聞いたりすると、ついファンの視線に戻ってしまいました。
僕が演じたパイロマニアというキャラクターは、見た目が独特でぼうっとしているように見えます。でも、同時に暗いなにかを感じさせるようなザラっとした感触のある存在です。初登場で彼はたき火を見つめているのですが、SF作品らしからぬ自然の中のシーンで、そこからしてパイロマニアの異様な雰囲気が伝わってくると思いました。

パイロマニアは感情を抑えて、淡々と喋るキャラクターなのですが、その中でどこまでセリフにエネルギーを込めていくかは苦労したところでした。そういう意味では、抑えたお芝居の多い草薙素子ともどこかしら共通する部分のある存在かなと感じました。パイロマニアは草薙素子と対峙していきますが、それは決して熱い戦いではなく、むしろ静かな戦いです。それはとても『攻殻機動隊』らしいものだと思いました。この全編から漂っている『攻殻機動隊』らしさを楽しんでいただければうれしいです。

シリーズ構成・冲方丁による新エピソードの見所、新キャラクターについて

草薙素子と対峙する敵、パイロマニアを描く。それが『ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』#09、#10の狙いです。パイロマニアは素子が肯定するものを否定し、否定するものを肯定します。彼はウィルス“ファイア・スターター”を全肯定するキャラクターで、それ故に、素子の敵であり同時に社会の敵としても立ちはだかります。ネットはあらゆる価値観を拡散させ、社会的なくびきからの逸脱を可能にします。

そのためネットの拡大に社会が追いつけない時、社会よりもネットの価値を重くみる存在が現れます。パイロマニアはそれが行きすぎたキャラクターで、社会よりもウィルス“ファイア・スターター”のほうに価値を見いだしているため、社会を破壊することにいささかのためらいも持ちません。一方、草薙素子は現在、既存の組織構造からはじき出されている存在ですが、それでもズカズカと現場へ入り込んでいって、自分のやるべき仕事をもぎ取っていく。#09、#10ではそういう草薙素子の“戦い方”が一番強調されたストーリーになっています。そんな草薙素子はパイロマニアにどう立ち向かっていくのか。そこを楽しみに見ていただけたらと思います。

公式サイト

(C) 士郎正宗・Production I.G / 講談社・「攻殻機動隊ARISE」