『バケモノの子』Blu-ray/DVD発売記念トークショーに音楽を手がけた高木正勝、齋藤優一郎プロデューサーが登場。細田監督作品における音楽の作り方を語る

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2015年の夏休み映画、邦画No.1ヒットを記録した細田守監督最新作『バケモノの子』。Blu-ray&DVDが発売を記録し、『バケモノの子』『おおかみこどもの雨と雪』の音楽を手がけた高木正勝氏と、スタジオ地図プロデューサーの齋藤優一郎氏が、HMV&BOOKS TOKYO内イベントスペースにて、トークショーを開催。
開場前から多くのファンが詰め掛けた。両氏が細田監督作品における音楽についてトーク。また終盤には高木氏が劇中曲を生演奏しただけでなく、齋藤プロデューサーとの連弾披露まで。終始、イベントは和やかな雰囲気で進み、集まったファンからの質問にも答えながら、盛況のなか行われた。

※以下、メーカー発表の情報をもとに記事を掲載しております。

登壇した齋藤Pは4日(金)に行われた日本アカデミー賞で、細田作品が『時をかける少女』に始まり、4作品連続で最優秀アニメーション作品賞受賞に賛辞が贈られたことへ礼を返しながら「映画は1回失敗したら次がありません。沢山のお客様に観て頂けたからこそ、これまで4本の映画を作らせて頂くことができました。本当にうれしく、ありがたいことと思っています」と笑顔で挨拶。

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続いて『おおかみこどもの雨と雪』に続いて細田作品の音楽を手がけた高木氏がオファー時を「2014年の春にキャラクター表と熊徹の家、街の雰囲気がだいたい分かるくらいの状態のときにお話をいただきました。『おおかみこどもの雨と雪』ではピアノを使ったので、今回はパーカッションのみ、ピアノを一切使わないというのはどうでしょうと言われました。太鼓で行きたいと。僕が唯一弾ける楽器はピアノなのに(苦笑)」と振り返り、齋藤Pが言葉を受けた。「企画段階に観ていた黒澤明監督作品などの話を始め、細田監督は思いつくままにイメージを伝えていました。それから、ピアノとメロディを封印してみてはどうでしょうかと(笑)。ただ結局、ピアノもほしいですねと変わっていきました。映画は完成に向けて変化していくものですから。監督自身も映画の正解に辿り着くために、死のものぐるいでそれににじりよっているんです」。

ここで高木氏が細田作品の特徴を分析。「最初は熊徹に三船敏郎さんが演じたキャラクターのような野性味を見ていて、そこに引きずられちゃったんです。ちょっと昭和的だったというか。でも細田さんの作品って、ちゃんと現代的に描かれるんですよね。だから音楽も今に対応できる形にアップデートしなきゃと方向転換しました」。齋藤Pも同意する。「細田監督作品にはいくつか特徴がありますが、そのひとつに時代は常に現代であり舞台は日本。そして、その主人公は特殊な能力を持っていたり、何か特別な一族の末裔であったりするのではなく、僕らの隣に住んでいるかもしれない、職場や学校にだっているかもしれない、日常を一生懸命生きている“人”が主人公。音楽もそれに即してるんです」。

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また『バケモノの子』における音楽はユニゾンがテーマになっていると高木氏が告白した。 「『おおかみ~』には弦楽器が合いました。そこから奏でられる和音やハーモニーが。今回はユニゾンでいっています。ピアノもクラリネットもユニゾン。たとえばこの楽器が鳴ったら中国っぽくなるとか、そういったことを、いくつかの楽器を同時に鳴らすことによって消したんです。それから、今回の場合は、細田監督が描いた絵コンテの映像に合わせて、即興で弾いていったものが基になっています」と、絵コンテの映像を観ながら、そのまま弾いて作るスタイルだったことが明かされると、興味深い内容に会場につめかけたお客さんは食い入るような姿勢に。さらにお客さんから寄せられたアンケートに両氏が応答し、高木氏に向けられた「曲が生まれるときのシチュエーションはどういうときが多いですか?」との質問には、「ぱっと浮かぶときもありますが、1日中考えても浮かばないことが多い。そういうときは、これだけ考えたのだから、明日起きて一発目に弾いたものにするぞと決めます。実際にそうやって作ったものがベースになっています。難しく考えているときほどできないですね」と作曲家の生の答えを伝えた。

また壇上の端に用意されていたキーボードで、高木氏が生演奏を披露。「『おおかみ~』の場合は、声で作っていく感じだったので、すべて口ずさめる曲になっています。『バケモノの子』の場合は、打楽器的に成り立っています」とキーボードを叩きながらそれぞれの曲調を実演。「もう少し弾いて!」とのリクエストがかかると、『おおかみ~』からCM曲としてもおなじみの「きときと」を1曲まるまる生演奏。しかも高木さんアドバイスのもと、齋藤Pも参加しての連弾に!演奏後にはイベントを通じて一番の拍手が沸き起こった。

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そして最後に高木氏がこの作品にかかわって感じたこと、齋藤Pが細田監督の次回作について触れてイベントは盛況のうちに幕を閉じた。「人が誰かを応援するというのは、やっぱりいいなと。児童文学やいろんな物語の名作には、人が誰かを応援するという部分が絶対条件のように入っているんですよね。最近、本作を観直してみて改めて感じるのですが、『あなたの一番いい部分を使ってがんばりなさい』と言ってくれているなと感じました」(高木)、「細田監督は今、また新しい映画を作り始めています。『おおかみこどもの雨と雪』があったからこそ『バケモノの子』は生まれた。だからこそ、きっと次の物語も、『バケモノの子』があったからこそ作り得る、新しいチャレンジに満ちあふれた作品になるのではないかと思っています。」(齋藤P)。

「バケモノの子」Blu-ray&DVD詳細情報

バケモノの子 セルDVD(本編ディスク+特典映像ディスク)

品番:VPBT-14477/価格:¥4,800+税
【本編ディスク】本編約119分
オーディオコメンタリー二種収録
出演(キャストコメンタリー):細田守、宮﨑あおい、染谷将太、広瀬すず/古川耕(司会)
出演(スタッフコメンタリー):細田守、山下高明、西田達三/氷川竜介(司会)

【特典映像ディスク】
特典映像(劇場予告集、各種プロモーション映像ほか)

【封入特典】
ブックレット(劇場パンフレット縮刷版予定)
カラー、16:9、ビスタサイズ、ドルビーデジタル2.0ch/5.1ch、日本語字幕

バケモノの子 セルBlu-ray スタンダード・エディション(本編ディスク+特典映像ディスク)

品番:VPXT-71408/価格:¥5,800+税
【本編ディスク】本編約119分
オーディオコメンタリー二種収録
出演(キャストコメンタリー):細田守、宮﨑あおい、染谷将太、広瀬すず/古川耕(司会)
出演(スタッフコメンタリー):細田守、山下高明、西田達三/氷川竜介(司会)

【特典映像ディスク】
特典映像(劇場予告集、各種プロモーション映像ほか)

【封入特典】
ブックレット(劇場パンフレット縮刷版予定)
カラー、16:9、ビスタサイズ、1080p High-Definition(本編)、M-PEG4/AVC、リニアPCM2.0ch&5.1ch/ドルビーデジタル2.0ch(コメンタリー)、日本語字幕

バケモノの子 セルBlu-ray スペシャル・エディション(本編ディスク+特典映像ディスク)

品番:VPXT-71409/価格:¥8,800+税
【本編ディスク】本編約119分
オーディオコメンタリー二種収録
出演(キャストコメンタリー):細田守、宮﨑あおい、染谷将太、広瀬すず/古川耕(司会)
出演(スタッフコメンタリー):細田守、山下高明、西田達三/氷川竜介(司会)

【特典映像ディスク】特典映像(劇場予告集、各種プロモーション映像ほか、スペシャル・エディション特別映像)

【封入特典】
『バケモノの子』細田守監督書き下ろし短編小説
オーディオコメンタリー副読本
ブックレット(劇場パンフレット縮刷版予定)
カラー、16:9、ビスタサイズ、1080p High-Definition(本編)、M-PEG4/AVC、リニアPCM2.0ch&5.1ch/ドルビーデジタル2.0ch(コメンタリー)、日本語字幕

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