TVアニメ『キノの旅』Blu-ray中巻のパッケージデザインにまつわるインタビューが公開。担当デザイナーが語る遊び心

明日2月28日(水)発売のTVアニメ『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』Blu-ray中巻。
キノが訪れた国をイメージしたトラベルステッカーや、エルメスのサイドケースをモチーフにした収納ケースなど上巻に続き遊び心満載のパッケージデザインについて、担当デザイナーの株式会社楽日の中村晋弥氏が語るインタビューが公開された。

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――Blu-ray上巻の収納ケースの底面に携帯食料やキノのシャツがあったり、各国をイメージしたデザインの『トラベルステッカー』など作品ファンの方なら思わずニヤリとするようなデザインを作成されていますが、元々『キノの旅』は読まれていたのでしょうか?

中村:はい、読んでいました。1巻が出た当時、私はまだ中学生でした。誰から勧められるわけでも、今みたいにネットの評判を見たわけでもなく、自分の直感で面白そう!と手に取った作品でしたので、今でもその時のことを強く覚えています。
まさか、その読書体験をデザインに活かせる日が来るとは思ってもみませんでした。

――ちなみにお気に入りの国はありますか?

中村:原作ではやはり『大人の国』ですね。1巻の構成も相まって、当時読んだ時は本当に衝撃的でした。『人を喰った話』の報われないやるせなさと、強いキノも人の子なんだと気づかせてくれた最後のシーンも好きです。

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TVアニメですと、語りたいものは尽きないのですが……強いて挙げるなら、第5話の『嘘つき達の国』です。原作を読んだのが大分前だったこともあり、新鮮な気持ちで観ることができました。ラストで二転三転するところに驚き、観終わった後もしばらく余韻に浸り、本当にこれで良いのかと考えてしまう、短い話ながら『キノの旅』らしいエピソードの一つだと思います。

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――Blu-ray上巻ではトランクケースをモチーフにされた収納ケースでしたが、2月28日に発売の中巻の収納ケースでは何をモチーフにされましたか?

中村:エルメスの後輪に付いているサイドケースをモチーフにしました。
上巻のトランクケースモチーフで全3巻とも統一する案もあったのですが、毎回変えた方が新鮮な気持ちで手に取ってもらえるだろうと思いまして。キノの愛用品は様々ありますが、収納ケースの仕様に合い、モチーフにした際に違和感や無理のないものを選んでいます。

今回のサイドケースモチーフに関しては、金属の質感と使い込まれた風合いを出すことに苦労しました。テクスチャー(材質表現用)として使用するため、良い感じに錆びたり劣化した鉄板がないかと、ホームセンターなどを探し回ったのですが、意図に沿ったものは見つかりませんでした。最終的に、綺麗な状態の鉄板を買ってきて風化を促進させる塗料を塗り、錆びを自分で作りました。

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ケースの底面は、キノが入れていそうなものをピックアップし、こちらでデザインとして起こしたものを時雨沢先生に確認していただきました。中巻は、エルメスやパースエイダーを整備するための工具箱と、森の人の弾薬箱をイメージしています。特に弾薬箱の方は、時雨沢先生から様々なアドバイスをいただくことができ大変光栄でした。

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――細かな部分のデザインまで遊び心がつまったBlu-rayパッケージですが、特にここに注目して欲しいという箇所があれば教えてください。

中村:各巻の収録話に合わせたデザインにご注目いただけたら嬉しいです。毎話まったく別の国が描かれる点が本作の魅力の一つだと思っていまして、デザインにも活かさない手はないだろうと考えました。それが前述の収納ケースもそうですが、毎巻デザインをガラッと変えてしまうということでした。

普段、パッケージや書籍など巻数があるものは、最初でフォーマットを決めるのことが常なので、それをしないということは正直かなり大変だなと迷いもあったのですが、TVアニメで毎話様々な表現にチャレンジされているのを観て、自分もやろうと決心しました。
中でも収納ケース蓋裏面の、入国カード風インデックスがその際たる例で、国の特徴や時代感に合わせてデザインはもちろん、材質、形、書体と全て変えています。原作、TVアニメ、脚本を何度も見返しながら作りました。

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入国カード風インデックスや特典のトラベルステッカーを始め、キノの持ち物などパッケージとして作品の魅力を表現するために、一歩踏み込んだものが必要不可欠だと思っていた反面、原作では具体的な描写がなかったり、そもそも登場していないものもデザインに起こしていたので、ラフ段階でNGになることも覚悟していました。ありがたいことに、OKをいただけた時は本当に嬉しかったですね。「キノの旅」という作品と時雨沢先生を始め、関係各所の皆様の懐の深さに本当に感謝しています。

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もう一点、注目いただきたいポイントがありまして収納ケースの黒星先生のイラストです。ここには一切の文字や余計な装飾は載せたくありませんでした。純粋に絵だけに集中出来る面にしたかったので、何としても死守したかった部分です。

極論を言ってしまえば、パッケージは本編と時雨沢先生の書き下ろし小説、黒星先生の描き下ろしイラストがあるだけで、ファン的には十分購入に値するものだと思っています。私が正にそうなので(笑)。しかし如何せん高価なものです。迷ったり踏ん切りがつかない方もいると思うんです。その背中をデザインで、もう一押しすることが自分の仕事だと思って取り組んできましたので、そういう方が本当にいたら嬉しいですね。

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――中村さんはBlu-rayのパッケージデザイン以外でも夏コミで配布された小冊子「KinoWalker」や、全国47都道府県以上のバリエーションで展開された「ご当地ポスター」、現在開催中のサバゲーコラボ 光線銃の国のノベルティ「入国証明書ポストカード」&「国民認定証ステッカー」などのデザインも担当されましたが、それぞれ裏話などやこだわった部分があれば教えてください。

中村:「KinoWalker」は無料とは思えないくらい、バラエティに富んだ内容でしたので料理のページや擬似広告など、それっぽく作るのが本当に楽しかったです。

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「ご当地ポスター」は、キノの衣装を季節や都道府県に合わせて変えられるように、黒星先生がイラストを細かくパーツに分けて準備してくださいました。パーツの組み合わせは最終的には使用しなかった組み合わせも含めると50通り近くになりました。

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「入国証明書ポストカード」&「国民認定証ステッカー」は、パッケージのデザインと合わせたものになっていますので、ぜひ手に入れて好きな巻のケースに収納してもらいたいですね。

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Amazon.co.jp限定のBlu-ray上・中・下巻 連動購入特典のアニメ描きおろし全巻収納BOXは、イラストの構図から提案させていただきました。背景は、「キノの旅ミュージアム」があったらをテーマに、本作の魅力の一つでもある背景の美術ボードをふんだんに使用させていただいていただきました。キノは地味目の、エルメスは派手目の額を選んでいるのがポイントです。

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――最後にひとことコメントをおねがいいたします。

中村:原作やTVアニメを見返す度に新たな発見があるように、パッケージにも様々な小ネタを仕込んでいますので、本編や特典などと共に楽しんでいただけたら嬉しいです。実は、全3巻を通して見比べてみると微妙に変化しているモノもありますので、ぜひ探してみてください。

公式サイト

(C)2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/キノの旅の会